日本マイクロソフトは2024年6月24日、生成AIのユースケースに関する説明会を開いた。ユーザーとしてイオン(本社:千葉県千葉市)とナガセ(本社:東京都武蔵野市)が登壇し、自社の生成AIの活用方法を紹介した。イオンは、ECサイトの商品説明文を自動で生成している。ナガセは、英作文を自動で添削するWeb型の講座を運営している。
日本マイクロソフトは、生成AIのユースケースについての説明会を開いた。ユーザーであるスーパーマーケットチェーン運営のイオンと、学習塾運営のナガセがそれぞれ自社の生成AIの活用方法を紹介した。
ECサイトの商品説明文をAIが自動生成─イオン

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イオンは、業種業態が異なる300ほどの事業会社を擁し、従業員は56万人に及ぶ。これら事業会社からデータを集めて活用することで、グループの価値を高めようとしている。なお同社は、AIを自前で作成・活用する組織「データイノベーションセンター」を社内に設立している(写真1)。
同社における生成AI事例の1つが、商品説明文の自動生成である。ECサイトにおける製品情報(商品名、セールスコピー、説明文)を、生成AIに自動で作ってもらう。
これまでは人間がこの種の情報を作成してきたが、商品数が多いことから負荷が高かった。これをAIに置き換えることで、作業工数を減らして品質を高める。

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画面1は、実際のアプリケーション画面である。商品情報の一部として「上品な味わいのマカダミアナッツとふくよかな甘みのレーズンをラム酒香るチョコレート」などの文言を入力し、生成したい項目(商品名、セールスコピー、説明文)を選び、保守的/革新的などのパラメータを設定すると、AIが商品情報を生成してくれる。
最終的に人間による目視チェックは入るものの、作成工数を大きく抑えられるとしている。あるECサイトでは作業工数が60%減り、作業時間が短くなった。従来は、あらかじめ決めておいたスケジュール(登録期限)を1~2日超過してから登録することもあったが、AIで自動生成するようになったことで、こうしたスケジュール超過もなくなったという。
商品説明文をAIで生成したページはアクセス数が多い
自動生成によって、商品情報の品質も高まった。商品購入などのコンバージョンの前段階として、商品説明ページのアクセス数をA/Bテストで調べたところ、人間が作成した商品情報よりもAIが生成した商品情報のほうが多かった(図1)。AIによる生成にあたっては、SEO(検索エンジン最適化)を考慮した商品情報を生成するように調整したという。

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イオンにおけるもう1つの活用例が、店長アンケートの要約である。同社は、全国にある店舗へのアンケートを基に景気インデックスを自作している。景気がよい/悪いと思う理由を書いてもらっている。このアンケート結果の要約に生成AIを使っている。こうして得た景気情報とPOS(販売時点情報管理)データを照らし合わせ、景気と特定商品との相関関係を見出している。
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