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オラクル、ベクトルDB/LLMによるRAGの構築を容易にする「HeatWave GenAI」を提供

2024年6月27日(木)日川 佳三(IT Leaders編集部)

米オラクル(Oracle)は2024年6月26日(米国現地時間)、インメモリー型分散データベース「HeatWave」の生成AI機能「HeatWave GenAI」を発表した。RAG(検索拡張生成)システムに必要なベクトルデータベースの作成・運用を容易に行えるようにする。また、大規模言語モデル(LLM)をデータベースに実装してLLMの選択肢を拡充したほか、生成AIのUIとなるチャットアプリケーションなどを用意している。

 米オラクル(Oracle)の「MySQL HeatWave」は、インメモリー型で動作するMySQL互換の分散データベースである。MySQLを置き換えることで処理が高速になる関連記事クラウドDB「Oracle MySQL HeatWave」にマシンラーニング機能、SQLを介して学習・推論)。

 HeatWaveの特徴は、分散型のアーキテクチャを採用したこと。OLTP(トランザクション処理)に使う通常のMySQLノード(InnoDB)と、OLAP(データ分析)に使うインメモリー型のクラスタノード(HeatWave)で構成する。InnoDBで更新したデータは、データ分析用のHeatWaveクラスタに透過的に伝達する。1つのデータベース基盤でOLTPとOLAPを兼ねるので、OLTPデータベースからETLツールでOLAPデータベースにデータを移行して分析するといった手続きが要らない。

 今回、ベクトルデータベース/大規模言語モデル(LLM)によるRAG(Retrieval-Augmented Generation:検索拡張生成)の構築を容易にする生成AI機能「HeatWave GenAI」を発表した(図1)。

図1:データベース「MySQL HeatWave」に追加した生成AI機能「HeatWave GenAI」の概要(出典:日本オラクル)
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 オラクルはこれまで、段階的にHeatWaveの機能追加・拡張を図ってきた。例えば、チューニングなどの運用をマシンラーニング(機械学習)によって自動化する機能(2021年8月)、専用のSQLをインタフェースとしてデータベース格納データを対象にしたAIの学習・推論機能(2022年3月)、データベース格納データだけでなく、オブジェクトストレージ上のファイル(CSV/Apache Parquet形式)をSQLで分析する「Lakehouse」機能(2023年7月)などである(関連記事オラクル、CSV/ParquetファイルをSQLで分析可能な「MySQL HeatWave Lakehouse」を提供)。

 今回加わった生成AI機能のHeatWave GenAIは、RAGシステムに必要なベクトルデータベース「Vector Store」を実装し、ベクトルデータベースの作成・運用を省力化している。また、大規模言語モデル(LLM)をデータベース内に実装し、LLMの選択肢を拡充しているほか、生成AIのUIとなるチャットツールも用意している。

 一般に、RAGシステム向けにベクトルデータベースを作成する手順は、文書からのデータの抽出やベクトルデータ化など複数のステップに分かれている。HeatWave GenAIでは、ベクトルデータベースを1つのコマンドで作成できる(図2)。

図2:ベクトルデータベースの作成手順を省力化し、1コマンドで作成できるようにした(出典:日本オラクル)
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 LLMとベクトルデータベースを組み合わせてRAGシステムを構築する手順も、複数のステップに分かれる。HeatWave GenAIでは、これについても1つのコマンドで完了できる(図3)。

図3:RAGシステムを構築する手順を省力化し、1コマンドで作成できるようにした(出典:日本オラクル)
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 生成AI/LLMに指示するプロンプトの精査に、実装済みのマシンラーニング機能を利用することが可能。プロンプトを改善して回答精度を高めたり、プロンプトのサイズを抑えて性能向上やコスト削減につなげたりできる(図4)。

図4:生成AIに与えるプロンプトの精査にマシンラーニング機能を使う例(出典:日本オラクル)
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Oracle / MySQL HeatWave / RAG / 生成AI / MySQL / RDBMS

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