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倉敷中央病院、健康診断結果から生活習慣病の発症リスクを予測、AUC 0.7以上の精度を確認

2024年12月6日(金)日川 佳三(IT Leaders編集部)

倉敷中央病院(岡山県倉敷市)は2024年12月6日、健康診断の結果から生活習慣病の発症リスクを予測するAIモデルを構築し、評価で予測精度が一定以上であることを確認したと発表した。11種類の生活習慣病について、4年以内の発症リスクにおけるAUC(曲線下面積)が0.7以上の精度であることを確認した。AIモデルはNECソリューションイノベータと共同で開発した。

 倉敷中央病院は、生活習慣病の発症リスクをAIで予測する研究をNECソリューションイノベータと共同で実施している(関連記事倉敷中央病院、カルテと検診情報から生活習慣病の発症リスクを予測するAIの開発に着手)。

 研究では、同病院が保有するカルテと、倉敷中央病院付属予防医療プラザが保有する健康診断情報を用いて、糖尿病、高血圧症、脂質異常症、動脈硬化、急性心筋梗塞などの生活習慣病が4年以内に発症するリスクを予測するAIモデルを開発。2012年~2022年に予防医療プラザで健康診断を受診した9万2174名を対象に、受診者の50%を学習、25%を1次評価、25%を最終評価のデータとしてランダムに抽出して利用した。

 健康診断と疾患の診断までの追跡期間の情報に、生存時間解析で広く使われるCox比例ハザードモデルを適用し、予測AIモデルを構築した。予測モデルの評価には、4年以内の生活習慣病の発症リスクに対する曲線下面積(Area under the curve: AUC、1.0に近いほどモデルの予測性能が高い)を用いている。

 研究の結果、予測AIによって導き出した疾患発症リスクのうち、11種類の生活習慣病(2型糖尿病、脂質異常症、高血圧症、心房細動、急性心筋梗塞、心不全、動脈硬化、脳梗塞、アルコール性肝疾患、肝線維症および肝硬変、慢性腎臓病)について、4年以内の発症リスクにおけるAUCが0.7以上の精度であることを確認した(図1)。

図1:4年以内の生活習慣病の発症リスクにおける曲線下面積(AUC)を用い、予測モデルの精度を評価した結果(Yasuda et al., AJPM Focus, 2024より改変)(出典:倉敷中央病院、NECソリューションイノベータ)
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 開発した予測AIは、一度の健康診断の結果から複数の異なる疾患リスクを同時に予測し、総合的に健康状態を把握することに重点をおいている。複数の疾患リスク同士の関連性を調査したところ、動脈硬化と脳梗塞、急性心筋梗塞と心不全の間で関連性が高いことを確認。一方、肝疾患は、他の臓器での疾患および発症リスクとの関連性が低く、特定の疾患だけに注目した場合にリスクが見落とされる可能性があることが判明したという。

 なお、NECは、開発した予測モデルを実装したアプリケーション「NEC 健診結果予測シミュレーション」を2024年1月から販売している。倉敷中央病院付属予防医療プラザも、同アプリケーションを倉敷中央病院の職員の定期健康診断に利用する。

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