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長崎県西海市、生成AIシステムを全庁で利用、年間2000時間以上の業務削減を見込む

kintoneで動作する自治体向け生成AI「ばりぐっどくん」を利用

2024年12月23日(月)IT Leaders編集部

長崎県西海(さいかい)市は、議会答弁書の作成補助などの業務に生成AIを適用し、全庁で利用を開始した。サイボウズのローコード開発ツール「kintone」を採用し、kintoneを通じて、西海クリエイティブカンパニーの自治体向けAIサービス「ばりぐっどくん」を利用している。年間2000時間超の業務削減効果を見込んでいる。サイボウズが2024年12月20日に発表した。

 長崎県西彼杵(にしそのぎ)半島の北部に位置する西海(さいかい)市は、AIの業務活用に継続的に取り組んでいる。最初に汎用の生成AIサービスの利用を試みたが、議会答弁書の作成など自治体の特定分野に特化した業務において十分に活用できなかったという。

 新たな取り組みとして、サイボウズのローコード開発ツール「kintone」を導入し、kintoneで動作する自治体向けAIサービス「ばりぐっどくん」を全庁に導入した。また、両備システムズが提供する、kintoneをLGWAN対応させるゲートウェイ「R-Cloud Proxy for kintone」を用いて、アクセスの安全性を確保している。

画面1:西海市がkintoneを通じて利用する生成AIサービス「議会答弁_教えてばりぐっどくん」の操作画面例(出典:サイボウズ)
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 西海市は、新たな生成AIシステムを議会答弁書の作成補助、画像内の文字起こし、翻訳などに活用している。議会答弁書の作成では、kintoneで質問を入力して「回答スタート」をクリックすると、過去の議事録などの公開情報を活用し、生成AIが回答を生成してくれる(画面1)。業務活用例として以下のユースケースを挙げている。

  • 議会答弁用の原稿作成
  • 汎用的な利用
  • 文章の要約
  • 外国語と日本語の双方向翻訳
  • 音声ファイルからの文字起こし
  • 紙媒体からの文字起こし
  • 音声などから文字起こしした情報から議事録を作成

 自治体の業務に特化した生成AIサービスにより、西海市が公開している情報を基に精度の高い回答を生成することができる。kintoneのローコード環境により、生成AIによる作成内容をkintoneの画面で編集できるなど、個々の業務品質を高めることも可能になった。kintoneのコメント欄を活用することで、他の部署のメンバーとの情報共有/ディスカッションも容易になったという。

 試験運用開始から2カ月後に実施した全庁アンケートでは、57%の職員が生成AIシステムにログインし、職員が挙げた業務削減効果を合算すると、年間2072時間に達する。約9割の職員が有効性を実感していると回答し、部署や役職によらず、利用が広がっているという。

 西海市は新システムの下で今後、職員に生成AIのさらなる活用を促進していく。「kintoneは、ITの知識がなくても業務改善に必要なアプリケーションを簡単に開発できる。この仕組みを活用して全庁で業務改善に取り組む」(同市)。

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