[事例ニュース]
明治安田生命、ITシステム開発に生成AIを活用する検証、開発生産性が25%向上
2025年3月3日(月)日川 佳三(IT Leaders編集部)
明治安田生命保険(本社:東京都千代田区)は2025年3月3日、ITシステム開発に生成AIを適用する検証を行ったと発表した。日本IBMの支援の下、内部設計/コード生成と単体テストの自動化により、開発生産性が約25%向上したという。検証結果を受けて、2025年4月から実業務でパイロット適用を開始する。
明治安田生命保は、ITシステム開発に生成AIを適用する検証を行った。日本IBMの支援の下、内部設計/コード生成と単体テストの自動化と、要件定義から外部設計、テスト工程に至るトレーサビリティの確認作業への生成AIの活用について検証プロジェクトを実施した。
「昨今のIT人材不足、なかでもメインフレームなど既存システムの運用・保守を含んだシステム開発に対応できる人材の不足が問題となっている」(日本IBM)。明治安田生命は、メインフレームのモダナイゼーションを推進する中で、生成AIの活用が解決策になると考えて同プロジェクトに取り組んだ。
システム開発における内部設計・コーディング・単体テストの一連の作業に対して、コード生成AIとテスト自動化AIがどこまで有効かを検証した。個人保険システムや企業保険システムなど実業務の成果物を利用し、生成AIで作成した内部設計書をインプットに、生成AIがコーディングやテストケースを作成する仕組みを構築。両社によると一連の作業の開発生産性が約25%向上したという。
次に、要件定義から外部設計、テスト工程までのトレーサビリティを確認する作業に対して、コード生成AIの有効性を検証した。要件定義書や外部設計書、テストケースなどで用いる保険業界特有の用語について補足情報を付加することで、生成AIの精度向上を図ったという。
明治安田生命は、検証の成果を受け、2025年4月に実業務環境でのパイロット運用を開始する。以降、要件定義や外部設計の影響調査作業などの上流工程、結合テストやシステムテストのケース作成など、対象工程やユースケースを広げて検証を続ける。将来的には、生成AI活用をベースにしたシステム開発プロセスの改革を目指すとしている。
同社のプロジェクトを支援する日本IBMは、コード生成、テスト自動化、IT運用高度化、プロジェクト管理など、システム開発プロジェクトに必要な要素ごとに生成AIの活用支援を体系化している(図1、関連記事:日本IBM、AI活用支援のSIを体系化、業界や顧客接点ごとにカスタムで提供)。
