[DXを成功に導く[デジタルガバナンス]戦略と実践]

持続的な競争力強化へ、これからの「IT環境」:第4回

2025年5月1日(木)西村 健一(EYストラテジー・アンド・コンサルティング ディレクター)

デジタルトランスフォーメーション(DX)の目的は、新たなテクノロジーを活用しながらビジネスを変革すること。そのためには、経営・顧客ニーズの変化を捉えたテクノロジーの取捨選択と、適用時のリスク分析・対応が求められる。近年は社会の変化の速さから、いかに迅速にビジネスニーズに応えられるかが持続的な競争力を生む源泉であり、そのインフラたるIT環境のあり方は切っても切り離せない。これは、第1回で述べた、デジタルケイパビリティの「技術・IT基盤、開発手法」にあたる検討項目であり、本稿はそのポイントを詳しく見ていく。

 「IT環境」がDXの成否に直結することは論を俟たないであろう。本連載の第1回:「デジタルガバナンス戦略」とは?─IT戦略とDX戦略の違いで述べた、デジタルケイパビリティの「技術・IT基盤、開発手法」にあたる検討項目である(図1)。

図1:デジタルケイパビリティの1つ「技術・IT基盤、開発手法のケイパビリティ」
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 DXを推進する過程で、「思ったように効果が出ない」「効果が出るまでに時間がかかる」「適用したテクノロジーが時代遅れになってしまっている」といった経験はないだろうか。これらはテクノロジー選定時の観点の不適切や検討不足、実装の遅さなどに起因することが多い。

 なぜ、そのようなことが発生しているのか。ITの観点で考えた場合、以下のような要因が挙げられる(図2)。

DX推進を阻害するIT環境要因

●IT基盤に拡張性・柔軟性が不足しているため、新たなテクノロジーの適用に時間を要する
(目指すところ:柔軟かつ拡張性のあるIT基盤を構築する

●サービス開発プロセスが硬直化しているため、新たなテクノロジーの適用に時間を要する
(目指すところ:柔軟な開発プロセスを確立する

図2:ITの観点におけるDX阻害要因イメージ
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 それでは、上記2つの阻害要因と、それぞれで目指すところについて順に述べていこう。

●Next:これからのIT環境に欠かせない要素

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