「デジタルガバナンス戦略」とは?─IT戦略とDX戦略の違い:第1回
2024年12月24日(火)大西 崇央(EYストラテジー・アンド・コンサルティング シニアマネージャー)
デジタルトランスフォーメーション(DX)が業界・企業規模を問わず不可避のテーマとなって久しい。しかしながら、日本企業のDX推進において、効果が感じられない企業がまだ多く存在している。その原因の一端に「デジタルガバナンス」の考え方の欠如がある。DXを成功させるためには、経営層、現場それぞれについてデジタルガバナンスに基づく活動が欠かせず、そのための「デジタルケイパビリティ」を理解し醸成する必要がある。本連載では、企業・組織の経営層、IT/デジタルリーダーに向けて、DX推進における課題をデジタルガバナンスの観点から深掘りで考察し、実効性のあるDXの戦略となすべき実践を詳らかにしていく。第1回では、取り組みの序となるデジタルガバナンス戦略の全体像と策定について解説する。
デジタル競争力で後退し続ける日本
現在、多くの日本企業がデジタルトランスフォーメーション(DX)の推進を経営戦略の1つとして掲げており、企業の競争力維持・向上のためにDXが必要不可欠であるという意識が強いことが見てとれる。
しかし、スイスのビジネススクールの国際経営開発研究所(IMD)が発表した「世界デジタル競争力ランキング2024」では、67カ国中38位と後れを取っている。しかも、2018年以降は下降の一途をたどっている(表1、図1)。
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日本企業がDXを強く意識して推進するも、各国と比べてデジタル競争力が成長できていない。その原因の1つに、DX戦略がこれまでのIT戦略の延長線上として考えている企業が多いことが挙げられる。どういう状況なのかを説明しよう。
●Next:DX戦略はIT戦略の延長にあらず
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