[事例ニュース]
原田伸銅所、基幹システムを国産ERPからSAP S/4HANA Cloudに移行、Fit to Standardを徹底
2025年4月30日(水)日川 佳三(IT Leaders編集部)
原田伸銅所(本社:埼玉県戸田市)は、SAP S/4HANA Cloudを中核とするクラウドオファリング「GROW with SAP」を採用、2024年11月に導入プロジェクトを開始した。既存の国産ERP(統合基幹業務システム)を刷新する。SAPジャパンが2025年4月24日に発表した。
原田伸銅所は、エレクトロニクス分野で使う「りん青銅」の専業メーカーである。全売上の約3割はアジアを中心とした海外市場であり、今後は海外比率をさらに高めることを目標としている。
同社は2016年に基幹システムとして国産のERP(統合基幹業務システム)パッケージを導入し、7年間利用してきた。しかし、個別最適化を重ねる中で複雑化が進み、事業環境の変化に対応できなくなってきた。
今回、新たなERPとして、SaaS型のSAP S/4HANA Cloud Public Editionを採用した。経営情報をリアルタイムに可視化することで、損益の早期把握、原価設定の精緻化、経営判断の高度化、を目指す。
導入にあたっては、業務を標準機能に合わせるFit to Standardを徹底した。標準機能でカバーできない要件は、開発ツールのSAP Business Technology Platform(SAP BTP)を使って周辺機能として実装し、ERPはクリーンコアを維持していく方針である。
今後は、SAP S/4HANA Cloud Public Editionの新機能(6カ月に1回のペースで自動的にバージョンアップ)を取り込みながら、AI活用にも注力する。
「現場の報告だけで意思決定を行っていては、ミスリードが起こりかねない。業務を標準化し、一元管理したデータをリアルタイムに取得することで、製品別・地域別の損益や原価構造などが正確に把握できるようになる。迅速な意思決定と経営判断の高度化につながる」(原田伸銅所)。