[市場動向]
NTT、NTTデータグループを公開買付けで完全子会社化、買付額は約2兆3700億円
2025年5月8日(木)IT Leaders編集部、日川 佳三
NTTは2025年5月8日、上場子会社のNTTデータグループを完全子会社化すると発表した。普通株式の約4割強をTOB(公開買付け)により取得する。買付代金の総額は約2兆3700億円。NTTデータグループをNTTグループ成長の原動力と位置づけ、より機動的な成長投資と事業ポートフォリオの強化を目指す。親子上場の解消による意思決定プロセスの一元化などの統合効果をもって、グローバルでのSI事業の成長拡大に取り組む。
NTTは、上場子会社のNTTデータグループを完全子会社化する。NTTは2025年5月8日時点で株式の57.73%を所有しているが、残りのすべての株式をTOB(公開買付け)により取得する。買付け期間は2025年5月9日から6月19日まで(30営業日)。
1株あたりの買付価格は4000円で、公開買付け公表日の前営業日である2025年5月7日の終値2991.5円に対するプレミアム率は33.71%。トータルの買付代金は2兆3712億4387万2000円(4000円×5億9281万968株)になる。
NTTデータグループは、同日付で2025年3月期の決算短信を公表している。売上高は4兆6387億2100万円で、営業利益は3238億6200万円である。

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NTTは2023年5月発表のグループ中期経営戦略に基づいて、今後、NTTグループが目指す方向性を、「NTTデータグループが取り組む事業をNTTグループ成長の原動力と位置づけ、より機動的な成長投資を行い、事業のポートフォリオを強化する」と説明している。
今回、NTTデータグループを完全子会社化することで、親子上場に伴う少数株主との利益相反関係、複雑化した意思決定プロセス、経営資源投下に伴う双方株主への説明責任といった課題を解消する。これらにより、グローバルでのSI事業の成長を強化するなど、NTTグループ全体の成長を加速させる(図1)。
●Next:今後、NTTグループ全体で計画する主な取り組み
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