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サイバー攻撃や生成AIの動向を反映し、国内セキュリティソフトウェア市場は2029年まで年12%成長─IDC

2025年5月28日(水)IT Leaders編集部

IDC Japanは2025年5月27日、国内セキュリティソフトウェア市場の実績と予測を発表した。2024年は前年比14.6%増の5861億100万円と推定、サイバー攻撃被害の増加やセキュリティ運用における生成AIの活用などの動向がセキュリティソフトウェアへの投資を促しているという。2024年~2029年の年間平均成長率(CAGR)は12.0%で推移し、2029年には1兆307億2700万円に達すると予測している。

 米IDCは、クラウドサービスを含むセキュリティソフトウェア市場を、エンドポイントセキュリティ、IAM(アイデンティティ/アクセス管理)、セキュリティ分析など7つの機能別に分類して調査している。

 IDC Japanによると、2024年のグローバルの市場規模(売上額)は前年比15.5%増の1178億米ドルで、日本のセキュリティソフトウェア市場は前年比14.6%増の5861億100万円と推定。2024年~2029年の年間平均成長率(CAGR)は12.0%で推移し、2029年には1兆307億2700万円に達すると予測している。(図1)。

図1:国内セキュリティソフトウェア市場の予測、2024年~2029年(単位:億円)(出典:IDC Japan)
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 IDCは2024年の同市場について、サイバー攻撃被害の急激な増加と、それによる経営者の意識変容、セキュリティ運用における生成AIを含むAIの活用などが、国内企業のセキュリティソフトウェアへの投資を促したと指摘する。

 「特にランサムウェア攻撃による被害が多発し、情報漏洩や業務停止などの経済的損失を被った企業が増えた。攻撃手法や感染経路の分析結果から、企業の情報セキュリティに対する課題がより具体的になり、製品・サービスへの投資につながっている。また、セキュリティ運用における人材/スキル不足の解決にAI/生成AIを活用する動きも市場成長を支えた」(IDC)

 2024年に機能別の市場は以下のように推移したとしている。

  • エンドポイントセキュリティ市場:前年比10.1%増の1734億3100万円。セキュリティソフトウェア市場の約3割を占める。主にEDR(エンドポイント検知・対処)が前年比22.8%の急成長で市場を牽引した。大企業向けのEDR導入は一巡したが、中小企業向けにEDRや運用サービス、SOCなどをパッケージ化した製品やサービスなどが堅調な成長を支えた。
  • IAM(アイデンティティ/アクセス管理)市場:前年比15.8%増の1125億750万円。ランサムウェアによるデータ奪取までのステップが分析され、ID管理と認証、アクセス管理で機密情報を保護するサービスへのニーズが高まった。また、マルチクラウド、SaaSなどの普及からID管理がサイロ化し、ライフサイクル管理やアクセス権の正当性チェックなど作業負荷が増していることも市場成長につながった。
  • セキュリティ分析市場:前年比22.9%増の856億2435万円。高度な技術を備えたセキュリティツールが揃う中、個々のツールから出力されるログ、アラート、異なるリスクレベルの理解と対応など運用の煩雑化が課題。これらを解決するサービスとしてAIによるアラート自動判定/対応などに注目が集まった。また、脅威インテリジェンスや脆弱性管理の分野が共に前年比40%超で成長した。

 IDCは、企業のセキュリティソフトウェアへの投資は引き続き同レベルで成長するとして、成長ドライバーに、生成AIの活用とそれを支えるID管理・認証、アクセス管理、データセキュリティなどを挙げている。また、2025年5月時点では“トランプ関税”の影響はIT分野において軽微にとどまるという見解も示している。「セキュリティ市場において世界情勢の緊張は、サイバー攻撃への備えと対策強化を促し、結果として市場成長の要因になる可能性があると捉えている」(同社)。

 今回の発表は、米IDCが2025年5月に発行したレポート「IDC Worldwide Semiannual Software Tracker」に基づく。日本を含むグローバル9地域におけるセキュリティソフトウェア/クラウドサービス市場の2024年ベンダー売上額実績と2025年~2029年の市場予測を掲載している。

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