デロイト トーマツ ミック経済研究所は2025年6月5日、AIエージェント関連製品・サービスの市場調査結果を発表した。市場全体では2024年度見込みが65億円、2025年度予測が前年比232%の152億円と急拡大する。用途別では、2024年度はフロントオフィス業務が93.6%を占めるが、2025年はビジネスプロセス/バックオフィス業務が30%まで広がる見通しという。
デロイト トーマツ ミック経済研究所は、AIエージェントを活用するための製品・サービスの市場を調査した。調査期間は2025年2~5月で、AIエージェントの製品・サービスを提供するベンダー計18社への調査に、その他のベンダーの航行を加えて市場全体を推計し、2028年度までの市場の推移を予測している。
市場全体では2024年度見込みが65億円、2025年度予測が前年比232%の152億円と急拡大する。さらに、2026年度の予測は前年比208%の316億円と、生成AIブームに乗じて今後も急速に拡大していく見通しという。
「国内の労働力不足が将来的に加速することが市場急伸の背景にある。労働力不足のところに、制限のないデジタル労働力としてのAIエージェントがインパクトをもたらしている」(デロイト トーマツ ミック経済研究所)。
用途別カテゴリー | 主な用途 | ||
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ビジネスプロセス/バックオフィス業務 | 財務会計 | ERP等財務システム連携、ほか | |
人事給与 | 出退勤データ処理、勤務状況分析、ほか | ||
販売管理 | 受発注処理 | 見積、受注、請求、消込処理、ほか | |
購買管理、在庫管理 | 購買管理システム連携、ほか | ||
顧客管理、契約管理 | CRMシステム連携、ほか | ||
データ分析 | 各種販売データ分析、統計解析、ほか | ||
フロントオフィス業務 | コンタクトセンター | FAQ参照、通録など非構造データ整理、ほか | |
営業支援 | 申請処理、商談履歴参照、資料整理、議事録作成、提案書作成支援、SFA・CRMデータ入力、ほか | ||
マーケティング | Webクローリング、公開情報収集と分析、ほか | ||
システム開発 | マイグレーション(自動ドキュメント化、コード変換)、アプリケーションテスト、ほか | ||
PR業務支援 | IR業務、広報業務、ほか | ||
製造業務支援 | 研究情報管理、トラブル処理支援、安全衛生支援、ほか | ||
一般業務支援 | スケジューリング、会議室予約、ほか | ||
システム保守 | マルチテナントのシステム保守運用支援 |
表1は、関連製品・サービスの用途別カテゴリーである。用途別のウエイトは、2024年度の場合、営業支援やマーケティングなどのフロントオフィス業務が93.6%と大半を占める(販売管理などのビジネスプロセス/バックオフィス業務)。一方、2025年は、ビジネスプロセス/バックオフィス業務が30.0%まで広がる(図1)。

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デロイト トーマツ ミック経済研究所は中期予測として、「プロダクトライセンス」が市場を引き続き牽引するかたちで、年平均107.7%で成長し、市場規模は2028年度に1216億円に上るとしている。
同社によると、プロダクトライセンスの成長は、業界業種に関係なく業務課題を解決する「ホリゾンタルSaaS」が高水準で推移することに起因するという。「特に、フロントオフィス業務に位置する営業支援とマーケティングの用途において、デジタル労働力の適用による省力化・効率化の流れが追い風となる」(同社)。
今回の発表は、同社が2025年5月に発刊したレポート「LLM(大規模言語モデル)を自律的に連携させ非定型業務を自動化するAIエージェント ソリューションサービスの市場動向 2025年度版」に基づく。