[事例ニュース]

三井不動産、通信障害下でも動く災害対策AIシステムの実証を開始、全国約200棟のビル管理に適用

小規模言語モデルでオンプレミス動作を実現

2026年4月17日(金)日川 佳三(IT Leaders編集部)

三井不動産は2026年4月15日、全国に保有する約200棟のオフィスビルを対象に、小規模言語モデル(SLM)を活用したオフライン型災害対策支援システムの開発・検証を開始したと発表した。被災状況を入力すると、AIがマニュアルから対応内容を抽出し、優先順位付きで初動対応を提示する。クラウドに依存せずオンプレミス環境で動作することから、災害によって通信環境が使えない状況でも利用できる。

 三井不動産は、オフィスビル、商業施設、住宅、ホテル、物流施設などを手がけている。同社の「危機管理センター」は、24時間365日体制で社員2人が宿日直につく。震度5強以上を観測した際はセンター内に災害対策統括本部を設置し、約300人規模の各地域対策本部と連携して全国の情報を一元管理する体制に移行する。

写真1:三井不動産の危機管理センター(写真左)と、現在実証中のオフライン型災害対策支援システムの画面(写真右)(出典:三井不動産、日立製作所)
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 一方、大規模災害時は、固定・携帯電話やインターネット接続に制限がかかる可能性がある。このため、オンプレミス環境で動作する災害対策用途の生成AIシステムが求められていた。そこで、日立製作所とともに、小規模言語モデル(SLM:Small Language Model)を活用した生成AIシステムの開発・検証を開始した(写真1)。

 SLMは、大規模言語モデル(LLM)に比して軽量なモデルで、一般的なPCやスマートデバイスでも動く。通信障害でクラウドに接続できないケースでも運用できるほか、マニュアルなどの機密性の高いデータを社外に出さずに済む。三井不動産が持つデータを学習させた専用モデルも構築可能である。

 開発中のシステムは、スマートフォンなどを用いて各ビルの被災状況を入力すると、生成AIが膨大な災害対応マニュアルを横断的に検索・解釈し、優先して実施すべき対応・作業をセンター員に提示する。立地や設備の構成が異なるビル個別の要件に即した支援を実施できる。また、マニュアルの想定を超える事象に備え、あらかじめ熟練者の知見や過去の対応ノウハウを生成AIに学習させている。宿日直者の習熟度に左右されない初動対応が可能だとしている。

 マニュアル内の図表も解釈できるよう、VLM(Vision Language Model:視覚言語モデル)も組み合わせた。さらに、災害対応に関する専門知識や、現場で求められる回答形式をAIに学習させるため、マニュアルや過去の質問応答データを活用したモデルのファインチューニングも実施した。これらにより、危機管理センターの業務に適した応答性能を確保した。

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