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[調査・レポート]

AIの投資利益率を示せる経営幹部はわずか6%、企業AI戦略の7割が個人レベルや特定領域に偏重─アトラシアン調査

AI活用成功のカギはコンテキスト・ワークフロー・文化

2026年6月11日(木)IT Leaders編集部、日川 佳三

豪アトラシアンの日本法人は2026年6月10日、「AI時代のチームワーク」に関する調査結果を発表した。AIが個人の作業スピードを押し上げる一方、チームの連携、意思決定、優先順位の整合性に新たな負荷を生み出している実態が明らかになった。調査は、同年1~2月に6カ国のナレッジワーカー1万2035人とFortune 1000企業の経営幹部172人を対象に実施した。

 アトラシアン(Atlassian)が「AI時代のチームワーク」に関する調査結果を発表した。調査は2026年1~2月、同社の研究機関でチームの働き方を調査・研究しているAtlassian Teamwork Labが6カ国(米国、英国、オーストラリア、インド、ドイツ、フランス)のナレッジワーカー1万2035人とFortune 1000企業の経営幹部172人を対象に実施した。

 調査では、経営幹部の89%がAIによって作業スピードが向上したと回答した。一方で、コラボレーションが改善されたと回答したのは48%にとどまった。「AIは個人の生産性を飛躍的に高めるが、チーム全体での連携には同じ効果を発揮できていない」(同社)。

 AI投資のROIを明確に示せると確信している経営幹部はわずか6%で、58%はROIの測定方法すら分からないと認めている。企業のAI戦略の67%が個人レベルまたは特定領域に偏重し、チーム単位での活用に焦点を当てているのは24%に過ぎないことから、こうした結果が表れたという(図1)。

図1:経営幹部がAI導入で重点を置いている領域(出典:アトラシアン)

 経営幹部の55%は、AIによってチーム間でのパフォーマンスの格差が拡大したと回答した。ナレッジワーカーの85%がAIを利用しているものの、日常のワークフローに実際に組み込んでいるのは29%にとどまり、AIを「チームメイト」として活用できているのは15%だった。

 AIツールの精度を全面的に信頼しているナレッジワーカーは22%である。69%が自社のデータおよびナレッジ基盤はAI向けに最適化されていないと回答しており、データ品質の問題がAI活用の障壁となっていることがうかがえる。

 「Fortune 500企業では、戦略なきAI導入によって生じる重複作業、優先順位の不一致、連携の混乱により、年間で推定1610億ドルの損失を生んでいる」(アトラシアン)。調査の結果、AIを活用して持続的な成果を上げているトップチームは、表1にある3つの柱を実践していることが明らかになったという。

表1:AIを活用して持続的な成果を上げているトップチームが実践する3つの柱(出典:アトラシアン)
内容 効果
コンテキスト チーム間で明確なゴールを共有し、人間とAIエージェントがアクセス可能な信頼できるナレッジ基盤を構築する ゴール不整合の発生率が12分の1に低減
ワークフロー 人間とAIエージェントの役割を明確にし、チーム横断の作業フローを設計する AI活用の整合性が13倍向上
文化 継続的な学習と実験を奨励し、人間とAIの協働を推進する組織風土を醸成する AIをチームメイトとして活用する可能性が2.3倍高まる

 調査結果を踏まえ、Atlassian Teamwork Labは企業に対して以下の4点を提言している

  1. 個人最適から「チーム最適」への転換:ナレッジワーカーは作業時間の80%を協働作業に費やしている。AI戦略の焦点を個人の生産性からチーム全体の連携品質へとシフトすべきである。
  2. 共有コンテキストの整備:人間とエージェント双方がアクセスできる一元化されたナレッジベースと明確な目標設定がAI活用の前提条件である。
  3. ワークフロー全体の再設計:AIを既存プロセスに部分的に追加するのではなく、人間とエージェントのコラボレーションを前提としたワークフロー全体を再構築すべきである。
  4. AI活用能力の格差解消:経営幹部は、新ツールへの投資を優先する傾向がほぼ2倍。人材に対する継続的なAI学習投資が求められる。
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