[市場動向]

会計・人事クラウド「freee」にAIエージェントを統合、バックオフィス業務を自動化

CAIOがエージェンティックな新技術基盤を紹介

2026年6月25日(木)IT Leaders編集部、日川 佳三

会計や人事労務のクラウドサービス「freee」を提供するフリーは、AIエージェントを中核に据えた技術基盤を構築し、同サービスへのAIエージェント機能の実装を進めている。2026年6月22日に説明会を開き、同社取締役 Chief AI Officerの横路隆氏が取り組みを紹介した。

 フリーの「freee」は、バックオフィス業務をクラウド上で一元化できる、中小企業・個人事業主向けの会計・人事労務管理クラウドサービスである。日々の経理や給与計算、勤怠管理から年末調整まで、煩雑な事務作業をデータ連携によって効率化する。

 AIの業務活用の広がりを受けて同社は、freeeの技術基盤をAIエージェントを中核に据えて構築。人が操作するソフトウェアから、人に代わってAIエージェントが業務を実行する構成へと移行する。

 フリーの取締役でChief AI Officerを務める横路隆氏は、freeeのAIエージェント機能を活用した事例として、訪問介護を全国展開する医療法人社団(ほむら)を挙げた。このケースでは、スタッフ1人あたり月30分を要していた経費精算の所要時間が、freeeのAI導入によって2分になったという。

 構築した基盤は、エージェント、モデル、開発組織の3領域からなる。図1は、AIの稼働実績と主な成果である。

図1:会計・人事労務SaaS「freee」におけるAI基盤の稼働実績と主な成果(出典:フリー)
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 エージェント領域では、AWSの「Amazon Bedrock」を用いた複数のAIエージェント群を本番環境で稼働させている。2026年3月にはMCP(Model Context Protocol)サーバーとAPIの提供を開始し、外部AIエージェントがfreeeを経由して日本の法規制や商習慣に即した業務を実行可能にした。公開済みのAPIは382本あり、MCP経由のAPI呼び出しは累計250万回に達しているという。

 モデル領域では、クラスター管理サービス「Amazon SageMaker HyperPod」を用い、freeeが13年間蓄積した業務データを基に小規模言語モデル(SLM)のファインチューニングを施している。このSLMは、最新の商用クローズドモデルと比べて精度が10ポイント以上向上し、推論速度は5倍超になったことを確認している。

 開発組織の面では、BedrockとAnthropicの「Claude Code」を全エンジニアに展開している。現在、社内ソースコードの約60%をAIが生成しており、プルリクエスト数は導入前と比べて1.5倍に増えたという。

 横路氏は、2年間の取り組みから得た知見として、ガバナンスの仕組みを整備することの大切さを強調した。例えば、2年前に「Amazon EKS」とBedrockを組み合わせたLLMプロキシと呼ぶ中間層を構築し、プロンプトの評価などを行えるようにしている。また、給与計算や税務申告にAIを組み込む場合、権限管理、監査ログ、認証認可の仕組みを実装することが不可欠と指摘した。

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