[市場動向]

マイクロソフトがクラウド戦略「Azure」を発表、既存環境との互換性を強調

2008年12月17日(水)IT Leaders編集部

米マイクロソフトが、いよいよクラウドコンピューティングに打って出る。2008年10月27日、米ロサンゼルスで開催した開発者会議(PDC 2008)においてクラウド基盤となる「Azure Service Platform」と、OSの「Windows Azure」を発表。その後、来日したCEO(最高経営責任者)のスティーブ・バルマー氏も11月5日、開発者向けフォーラムの席上で戦略を語った。

クラウド参戦の背景

画像:写真1
PDC2008の会場には多くの技術者が集まった

「今回のPDCは、マイクロソフトの大きな転換点になる」。キーノートスピーチに登壇したチーフソフトウエア アーキテクトのレイ・オジー氏は、こう口火を切った。聞き入る開発者に向けて明らかにしたのが、同社のクラウド戦略の要となる「Azure Service Platform」と「Windows Azure」である。

この瞬間にマイクロソフトのクラウドへの本格参戦の姿勢が鮮明になった。これまでも「ソフトウエア+サービス」と銘打ち、WindowsLiveやDynamics CRMなどオンデマンド型に対応する技術を世に送ってきたが、どこか軸足が定まり切らない印象があった。一転、今回の発表で同社がクラウドは本物、少なくとも一定の地歩を築くと判断したことが伺える。従来戦略では不十分だからこそ、Azureを大々的に掲げた。

プラットフォームの特徴

クラウド基盤の名称は「Azure Service Platform」。そこで動くOSが「WindowsAzure」である(Azureとは“空色”の意味)。企業が独自に導入するのではなく、マイクロソフトが自社のデータセンター内で運用する位置づけとなる。

Azure上に用意する主要コンポーネントとしては、データベースの「SQL Services」、ワークフローやアクセス制御など.NET Frameworkで実装してきた機能をWebサービスで提供する「.NET Services」、ソーシャル機能を提供する「Live Services」、ビジネス用途の基本機能を提供する「SharePoint Services」「Dynamics CRM Services」がある(図)。

画像:図1

ユーザー企業や開発者はOSと基本コンポーネントという下位2層の機能を利用し、その上にアプリケーション(サービス)を実装する。同社によると.NET FrameworkやVisual Studioなど、これまで技術者が利用してきた開発環境のノウハウが生かせるという。「社内運用型かクラウドかを意識しなくてもアプリケーションを開発できることが重要」(バルマー氏)と、アプリケーションの互換性を前面に押し出す。

提供時期と料金体系

正式リリースは2009年下期になる見込み。料金については明言してないが、セールスフォースなどに対し競争力のあるレベルになりそうだ。

正式リリース時期の遅さに加えて、Windowsのシェア拡大の原動力の1つだったSAPやオラクルとの協業の可能性も、今の所不透明なのが気に掛かる。それでも同社の本格参入がクラウドを加速させるのは間違いない。今後もウォッチしておくべき動きだろう。

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Microsoft / Azure / Windows / Windows Server / SQL Server / Dynamics

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