ソフトの主要5ブランド強化と共に情報活用分野に新機軸──。IBMはM&Aによる「ニッチの基幹技術」獲得合戦にいち早く乗り出したメガベンダーの1社だ。同社は1990年代初めにメインフレーム事業という屋台骨がぐらついたのを機に、ハードウェア事業からソフト/サービス事業へと大きく舵を切った。
ソフト事業においては、グループウェアのロータス(1995年)、システム運用管理のチボリシステムズ(1996年)、データウェアハウスのインフォミックス・ソフトウェア(2001年)、システム開発基盤のラショナルソフトウェア(2003年)を次々と買収。これらは同社のソフト主要5ブランド「Information Management」「WebSphere」「Tivoli」「Rational」「Lotus」の核となっている。
IBMは2004年以降、60社(製品単独の買収を含む)を買収しており、うち45社がソフト5ブランドを強化するためのものである。その中にはコグノスやアイログ、SPSSといった有名ベンダーもある。しかし、大半は特定の技術を強みにしてきたテクノロジーベンダーばかりだ。
例えば、Ascential SoftwareやData Mirrorの買収を通じて、マスターデータ管理に欠かせないデータクレンジング機能とデータ統合基盤をInformation Managementのポートフォリオに追加した。また、UMLモデリングやモデル駆動型開発のTelelogicを買収し、Rationalのポートフォリオを充実させた。
一方、サービス事業は2002年のPwCコンサルティングの買収を契機に、調達業務のアウトソーシングや医療向けコンサルティングなど13の事業者を買収している。