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[インタビュー]

「O/Rマッパの簡略化などでWeb開発をよりRapidに」─アドビのColdFusion製品マネジャー

2009年12月10日(木)日川 佳三(IT Leaders編集部)

アドビシステムズは2009年12月10日、アプリケーションサーバー(APサーバー)の最新版「ColdFusion 9」の機能説明会を開催した。インプレスビジネスメディアは、説明会に合わせて来日した米Adobe SystemsのColdFusion担当幹部に、Web開発における同社のビジョンや、ColdFusion 9の新機能を聞いた。

 ColdFusion 9の価格は、1台のサーバー機で運用する小規模向けのスタンダード版がアドビストアの直販価格で17万8500円(税込み)。一方、複数サーバー機を使うなど企業の大規模J2EEアプリケーションの運用に向いたエンタープライズ版は、販売代理店である国内SIベンダー各社から提供する。

 なお、ColdFusionは、J2EE APサーバーとしての機能をベースに、AIRやFlexなどのリッチ・クライアントやAjaxといった表現力の高いGUI画面を短期開発するための機能や、従来よりも短いソース・コードで複雑な業務ロジックを記述/実装するための独自言語/ライブラリなどを充実させた製品である。

 初期のColdFusionは、画面テンプレートを用いたWindows環境専用の簡易APサーバーだったが、その後にJavaで再開発され、J2EE開発/実行環境となった。独自の開発言語であるCFML(ColdFusion Markup Language)は機能を大幅に拡張して現行版にも引き継がれており、CFMLを介してJ2EEの各種フレームワークを簡便に利用できる。

 以下の談話は、米Adobe SystemsでColdFusion担当Senior Product ManagerのAdam Wayne Lehman氏が語ったもの。

---ColdFusionの現在の市場動向を教えてほしい。

 中小規模マーケットから大企業まで、さまざまな企業のさまざまな用途に活用されてきた。特に、元々の開発会社である米Macromediaが米Adobe Systemsに買収されて以降、この3年間でユーザー数が急増した。現在では1万2000社に達している。開発者もそれまでの80万人から倍増した。

 米Adobe Systems製品になってから初めてリリースした新バージョンは、前バージョンのColdFusion 8である。この製品には、米Adobe SystemsのDNAが組み込まれている。例えば、PDF文書やオフィス文書のフォーマット変換や画像処理/操作といった一連の機能を取り込んでいる。

 総じて、ColdFusionのメッセージは“Rapid”(迅速な)だ。より少ない開発工数でWebアプリケーションを開発できることを狙っている。この実現のため、迅速な開発を可能にするタグベースの言語であるCFMLを用意し、すぐに使える各種の機能ライブラリやサービス群を標準で提供している。

 CFML標準のタグを使うだけで、Javaや.NET、Adobe AIRなどと容易に連携できる。例えば、Excelをレポート・ライターとして利用して外部データベースにアクセスして値を取ってくるといった連携アプリケーションを簡単に開発できる。さらに、ユーザーが独自の連携機能をカスタム・タグとして新規に開発するCFC(ColdFusion Component)と呼ぶ仕組みも提供している。

---最新版のColdFusion 9では何が変わったのか。

 大きく3つの点について紹介しよう。1つ目は、簡単なO/Rマッピング機能を備えたこと。2つ目は、各種の機能群をWebサービス化したこと。3つ目は、Eclipseベースの統合開発環境「ColdFusion Builder」を搭載したことだ。さらに、ActionScript(Flash)から利用可能なライブラリも充実させた。

 1つ目だが、ColdFusion 9では、より簡単にアプリケーションを開発するための機能として、SQLを書くことなくSQLデータベースを利用できるようにするO/R(オブジェクト・リレーショナル)マッピングの設定を簡略化した。

 具体的には、O/RマッパーのJavaフレームワークである「Hibernate」をそのまま搭載しつつ、Hibernateを利用するための設定を半自動化することで、より簡単にSQLデータベースにアクセスできるようにしている。初心者でも簡単にDBアプリケーションが書けるようになる。

 CFMLのコード中に「persistence=true」と記述するだけで、Hibernateの設定を自動的に実施してくれる。従来であれば160行程度を要していたデータベース・アクセスをともなう業務ロジックが、ColdFusion 9ではわずか6行で記述できる。

 Hibernateと組み合わせて使うと便利なライブラリとして、全文検索エンジンの「Apache Lucene」やキャッシュ・ライブラリの「EHCache」も搭載している。

---機能群のWebサービス化について教えてほしい。

 ColdFusionが標準で提供している各種のライブラリ機能を、アプリケーションを開発することなく、Webサービスとしてすぐに利用できるようにした。ColdFusion 9を箱から出して(Out of Box)すぐに、Webサービス・プロバイダとして利用できる。SOAPやRESTによるWebサービス/API連携が可能だ。

 Webサービス経由で利用可能な標準のサービス機能の一例を挙げると、文書/画像操作、グラフ/チャート作成、テキスト全文検索、Exchange Server操作、Flashベースのファイル・アップローダ機能、などがある。

写真 米Adobe SystemsにおいてColdFusion担当Product Marketing ManagerのAlison Huselid氏(左)、ColdFusion担当Senior Product ManagerのAdam Wayne Lehman氏(中央)、Platform Tools担当Product Management DirectorのGreg DeMichillie氏(右)
写真 米Adobe SystemsにおいてColdFusion担当Product Marketing ManagerのAlison Huselid氏(左)、ColdFusion担当Senior Product ManagerのAdam Wayne Lehman氏(中央)、Platform Tools担当Product Management DirectorのGreg DeMichillie氏(右)
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Adobe / IDE / ColdFusion / SOAP / J2EE / Java

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