富士ソフトは2010年3月18日、クラウド関連事業でのマイクロソフトとの協業を発表した。「Windows Azure Platform」を中心としたマイクロソフトのクラウドコンピューティングサービスや、Azureと社内システムとの連携支援サービスの拡販を狙う。国内でのクラウドサービスの普及に勢いをつけたいマイクロソフトと、クラウド関連商材の充実を図りたい富士ソフトの思惑が一致した形だ。
協業の主な内容は、(1)富士ソフト社内へのマイクロソフト製品のデモ・体験センターの開設、(2)富士ソフトが手がけるマイクロソフト製品導入支援サービスの拡充、(3)セミナー共催や全国拠点への協業担当者設置、の3つだ。
(1)については同日、「マイクロソフトソリューション&クラウドセンター」を富士ソフトの秋葉原ビル内に開設した。施設の利用は2010年4月1日から開始する。「Windows Azure Platform」を利用したシステムのデモや、メールやグループウェア機能を備えたSaaS「Microsoft Business Productivity Online Suite(BPOS)」の体験コーナーを用意する。デモ用のコンテンツはマイクロソフトが用意する。同センターは、富士ソフトの顧客向けに無料で公開する。
(2)については、富士ソフトが従来4種類で展開していたマイクロソフト製品導入支援サービス「サービスパック」を、13種類に拡充した。新たに追加したのは、Windows Azure Platformを利用したシステム開発を支援する「Azure 移行支援サービス」、Hyper-Vを利用した仮想環境の構築を支援する「仮想化サービス」など9サービス。マイクロソフトは、サービス実施に当たっての技術面でのアドバイスなどを実施する。
(3)については、両社の共同セミナーを年間30回開催する。またマイクロソフトが富士ソフトの営業や技術担当者に、製品の無料のトレーニングを実施する。
富士ソフトは協業に併せて、100人規模のマイクロソフト専任部隊を新設。さらに現在1000人いるマイクロソフト認定資格取得者を、3年後に2000人に倍増させることも明らかにした。特にクラウドサービスと社内運用型製品との連携技術に長けた技術者の育成を進める。
クラウド分野では、マイクロソフトのサービスだけでなくグーグルの「Google Apps」などの他社サービスも販売する富士ソフト。今回の協業は「あくまでクラウドの品揃えを増やすのが狙いだ」と、富士ソフトの白石 晴久代表取締役社長は強調する。「グーグルのサービスの販売をやめるわけではない。マイクロソフトのサービスとグーグルのサービスを組み合わせた提案も増える」(同)。
富士ソフトでは今回の協業で、マイクロソフト関連製品の売上げを初年度20億円、3年後に70億円の規模に成長させたい考えだ。