PCと比べて遜色ない操作性 プロトコルや管理機能の技術進化が支える 手元のプリンターで印刷できない、動画はカクカク、操作開始に面倒な手順が必要─。DaaSやVDIでは、シンクライアントにつきものだったこうした課題が解決されてきた。どう性能が向上したのか、どう使い勝手が改善されたのかを見ていく。鳥越 武史(編集部)
技術進化によりVDIやDaaSの性能や使い勝手が向上している。以下では(1)レスポンス向上、(2)動画への対応、(3)使い勝手の向上、について見ていく。
(1) レスポンス向上
使用感はPCに肉薄
VDIやDaaSでの画面表示や操作応答の性能は、通常のPCと遜色ないレベルまで向上している。これを支えるのが、画面転送プロトコルの進化だ。
現在使われている画面転送プロトコルで主要なものは以下の3つである。Windowsが標準搭載する米マイクロソフトのRDP(Remote Desktop Proto-col)、米シトリックス・システムズのICA(Independent Computing Archi-tecture)、米ヴイエムウェアのPCoIP(PC-over-IP)だ。ICAはXenDestkop、PCoIPはVMware View 4といったデスクトップ仮想化ソフトの導入が条件になる。このうちPCoIPは「広帯域での利用に最適化されているため、多数の従業員が同時利用して帯域を確保しにくいオフィス環境では必ずしもパフォーマンスが出ない」(ワイズテクノロジーの松浦 淳日本法人代表)。そのため、オフィス利用ではRDPかICAを使用するのが一般的だ。
仮想化に関する調査・研究やシステム構築を手がける日本仮想化技術が実験した結果(図4-1)を見ても、性能はPCに肉薄している。実験ではPCとデスクトップ仮想化環境(RDP、ICA)との性能を比較。Wordを使った文書の編集・閲覧や、PowerPointを使ったスライドの編集・閲覧など、オフィスでの一般的な利用方法では、PCと大きな性能差はない。
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