日本企業の経営陣の58%が、自社の情報システムに満足していない―。ERP(統合業務)システムの普及を目的とした調査・研究機関であるERP研究推進フォーラムが実施した調査「企業アプリケーション・システムの導入状況に関する調査(2010年度)」から判明した実態だ。調査は、ユーザー企業のIT部門長クラスに対して、2010年1月29日から3月11日にわたってアンケート形式で実施。196社の責任者から回答を得た。
「経営陣はIT投資の成果に満足しているか」という問いに対し、「どちらかと言うと当てはまらない」が52.3%、「全く当てはまらない」が5.7%と、自社の経営陣はIT投資の効果に満足していないと考えているIT部門長が過半数に及んだ。一方で「よく当てはまる」と回答したのは3.1%、「どちらかと言うと当てはまる」は38.9%にとどまった。
経営視点でのIT投資が実践できているかという観点ではどうか。「IT投資は、経営戦略に沿って立案しているか」「IT投資は、業務改革(BPR)と一体的に立案しているか」との問いに対して、当てはまる(「よく当てはまる」または「どちらかというと当てはまる」)と回答したのは、それぞれ78.4%、67.4%と多数を占めた。一方で「IT投資は、当初計画に照らして効果モニタリングを厳密に行っている」かを問う設問では、当てはまると回答したのは30.9%に過ぎなかった。
本年度調査からは、新たにマスターデータ管理の実施状況についても調査した。マスタデータをアプリケーションごとに管理しており、アプリケーションを横断した管理ができていないと回答したのは26.6%。アプリケーションを横断して全社で一元管理している場合でも、すべてのマスターデータを一元管理しているのは全体の6.8%に過ぎず、マスターデータの大部分、一部のみしか一元管理できていないのはそれぞれ32.8%、33.9%に及んだ。
経営陣のIT投資の満足度と、経営視点でのIT投資状況のクロス分析も実施した。その結果、経営視点でのIT投資を実践するほど、経営陣のIT投資の満足度が高まることが明らかになった。特に実践している割合が少ない効果モニタリングについては、実践度に正比例して満足度が高まる結果となった。