「2010年現在のクラウド・サービスは、1980年当時と似ている。オープン性が失われ、ベンダーが顧客を囲い込んでいる。この問題を解決するため、2011年に新たなクラウド運用管理ソフトを出荷する」---。米Red Hatでミドルウエア事業部門のVPを務めるCraig Muzilla氏は2010年10月14日、クラウドが抱える問題を指摘し、クラウド運用管理ソフトの製品ロードマップを説明した。
同社が2011年に出荷するクラウド関連ソフトは2つある。1つ目の「Cloud Engine」は、異なるクラウド(IaaS)間におけるアプリケーションの移植性を担保するミドルウエア。DELTA CLOUD APIと呼ぶAPIを介し、VMware製品群やAmazon Web Servicesなど、クラウド基盤サービスのレイヤーを抽象化する。同ソフトにより、クラウド選びの選択肢が広がる。
もう1つのソフト「Red Hat PaaS: Foundation Services」は、PaaSを運用するための機能を提供するミドルウエア。同社のJBoss製品群(Java APサーバー/SOA製品群)を中心とする、各種の開発環境(IDE、言語)、実行環境、各種フレームワーク、システム連携ミドルウエアなどを、PaaS形式で利用できるようにする。
同社は、クラウド関連ミドルウエアに求める原則(JBoss製品群の原則)として、以下の3つを挙げる。1つは、エンタープライズ向け(企業向け)の機能を提供すること。1つは、垂直統合型によるベンダーのロックインを廃し、レイヤー間インタフェース(API)の標準化などにより、開発・実装の柔軟性を高めること。1つは、オープン・ソースの価値(低コストなど)を利用すること。

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