[ユーザー事例]

基幹系で使えるハード/ソフトの組み合わせを厳選、「ユーザー系」IT企業3社が技術検証でスクラム

「ユーザー系」クラウド同盟 大和総研HD/新日鉄ソリューションズ/パナソニック電工IS

2010年10月29日(金)栗原 雅(IT Leaders編集部)

主に情報系システムやノンコア業務を対象に利用が広がりつつあるクラウドコンピューティング。その適用範囲が、いよいよ基幹系システムにおよび始める。金融、鉄鋼、電機の大規模基幹系に造詣が深いIT企業3社が技術検証で手を握った。

左から新日鉄ソリューションズの北川三雄社長、大和総研ホールディングスの深井崇史社長、パナソニック電工インフォメーションシステムズの前川一博社長 ユーザー系主導のクラウド同盟が発足した。左から新日鉄ソリューションズの北川三雄社長、大和総研ホールディングスの深井崇史社長、パナソニック電工インフォメーションシステムズの前川一博社長

スクラムを組んだのは、大和総研ホールディングスと新日鉄ソリューションズ、パナソニック電工インフォメーションシステムズ(IS)の3社。それぞれ証券会社、鉄鋼メーカー、電機メーカーの情報システム部門をルーツとする「ユーザー系」のIT企業である。各社の社長は2010年10月5日に都内で共同発表会を開き、「クラウド同盟を立ち上げる」と宣言した(写真)。

3社は、基幹系向けのクラウド基盤に用いるサーバーとストレージ、ネットワーク機器に加え、仮想化ソフトや運用管理ソフト、データベースソフト、OSの技術を共同で検証する。その結果を踏まえ、安定稼働を確保する製品の組み合わせなどを標準化していく。大和総研ホールディングスの深井崇史社長は「(3社が手掛けてきたシステムには)業種特有の要素があるが、共通部分も多い。技術検証で協力すれば時間短縮やコスト低減を図れる」と期待する。

今回のクラウド同盟発足には、ベンダーとの交渉力を高める狙いもある。同盟各社の母体であり中核顧客でもある親会社はいずれも、世界的に知名度が高い。そのうえIT投資に積極的で、メインフレーム全盛の時代からIT活用の先進企業として知られている。そうしたバックグランドを生かし、ベンダーとの交渉窓口を一本化することで強い発言力を手に入れる考えだ。

成果物とロードマップの青写真

現時点で成果物のイメージやロードマップは明示されていないが、新日鉄ソリューションズの北川三雄社長は「数多くの製品とサービスの中から(基幹系向けクラウド基盤の標準として)何を選ぶべきか、一定の答えを出す」と青写真を説明する。

標準化の成果は、同盟各社が親会社の基幹系システムに反映する方向で検討する。さらに、それぞれが展開するクラウド関連事業の強化にも役立て、「IT投資で期待通りの成果を上げるユーザーを増やしていく」(パナソニック電工ISの前川一博社長)。

有力視されるプロダクト

具体的な製品構成などはまだ見えていないが、技術検証や標準化の対象として有力視される製品は、今の段階である程度推測できる。「1年ほど前から動いていた」と深井社長が明かす通り、今回のクラウド同盟の誕生には布石があったからだ。

2009年3月にさかのぼる。サーバーの仮想化機構で定評がある米イージェネラの日本法人は、同社のサーバーと米3PAR(2010年中に米ヒューレット・パッカードが買収完了見込み)のストレージを組み合わせた広域災害対策システムの検証を実施した。その結果を説明する会場にパナソニック電工ISと新日鉄ソリューションズ、大和証券の3社が、検証参加企業あるいはパートナーとして同席した。

また、パナソニック電工ISと新日鉄ソリューションズはクラウドサービスの基盤として、大和証券は取引システムの基盤などに、イージェネラと3PARの両方もしくは一方の製品を採用して運用中である。こうした点を踏まえると、クラウド同盟が推し進める技術検証や標準化の対象として、イージェネラと3PARの製品はすでに「当確」と見てよさそうだ。 (栗原)

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