シスコシステムズ 「見た目はタブレット端末だが、実は違う。パソコンと電話、ビデオを1台で完結できる製品だ。我々は“ビジネスタブレット”と呼んでいる」。シスコシステムズは2011年11月17日、タブレット型端末「Cius(シーアス)」の国内販売・出荷を開始すると発表した。
CiusはAndorid2.2を搭載し、やや小ぶりの7インチ・ディスプレイを備える。あえて“ビジネス”をうたう理由は2つある。1つが、給電を兼ねたLANポート、電話、キーボード、マウス、外部ディスプレイを接続するメディアステーション(置き台)がセットになっていること。これで仮想デスクトップ基盤「CiscoVXI」を利用できるようになり、パソコンと電話、ビデオ会議を兼ね備えた端末になる。
もう1つがアプリの配布やクライアント管理のためのシスコによるクラウドサービスの提供。ユーザー企業は管理ソフト「Cisco AppHQ Manager」を使って、社員向けのポータルサイトや連絡先台帳を運営したり、Ciusを管理できる。スマートデバイスの企業利用につきまとうセキュリティの問題を最初からクリアしているのだ。
ネットワーク機器専業のイメージが強いシスコがCiusのような端末を事業化するのは、「これまでのITは既存業務のIT化に終始してきた。印鑑をそのまま電子化しているように、特に日本はその傾向が強い。テレビ会議も、これまでの会議を単にテレビ経由に置き換えただけ。結果、既存ITと今求められているソリューションの間に巨大なギャップが生まれている」という問題意識から。それを変革し、例えば電話と同様にビデオコミュニケーションを1人1台にするのがCiusの役割という。「電話は部や課に1台から1人1台、そして携帯になった。ビデオも必ずそうなるし、Ciusでそれを加速させたい」(コラボレーション事業担当の公家尊裕執行役員)。
参考価格はシステムインテグレーションやネットワークの整備を含め、Ciusが1000台の場合で約2億円。単純計算で1台20万円と安くはないが、先行発売されている欧米では、HSBCのような大手金融機関が全面導入を決めているという。現行のCiusはディスプレイのサイズや重量など、デザインが平凡、あるいは無骨に見えるが、シスコ関係者によると「その点を考慮した次期製品を開発中」だ。 (編集部)