[技術解説]
iOSとAndroid OSはこう違う─iOSは「1社完結」の確実性を追求、「自由と責任」が共存するAndroid
2012年1月17日(火)川上 潤司(IT Leaders編集部)
企業が今、スマートデバイスとして注目するiPadとAndroidタブレット。 これらにはどのような違いがあるのか。 OSのみならずハードへの実装や、運用面なども視野に入れて比較すべき項目を 一覧表でまとめるとともに、ポイントを概説する。
スマートデバイス、特にタブレット端末の導入を検討するとなると、候補の筆頭に挙がるのがiPadとAndroidタブレットだろう。Windowsを搭載したキーボードレス端末、すなわちスレートPCも選択肢となるが、タッチ操作に最適化されたWindows8搭載機の登場を見てからとの声は少なくない。
こうした現状に照らし、本パートではiOSとAndroid OS(ならびに搭載機やビジネスモデル)に焦点を当て、その違いを整理する。
業務利用を想定した時、2つのOSのどんな特徴に目を向けるべきか。主要な項目で比較したものが次ページの表2-1である。大きく分けて、(1)端末の特性、(2)アプリケーションの開発・導入、(3)セキュリティや運用──という観点で違いを見ている。以下でポイントを見ていこう。
垂直統合と水平分業
基本アプローチに大きな差
iOSは、元々の名称が「OS X iPhone」だったことから推察できるように、Macintosh向けに開発されたOS Xがベース。ルーツをたどればBSD系のUNIXである。タッチインタフェースや加速度センサーなどの利用を前提に各種の改変が施されている。
UNIX系のOSと聞くとオープンで細かい部分まで手を加えられるという印象があるかもしれないが、ハードに実装した結果としての端末(iPhone/iPod Touch/iPad)は、“中身”が見えない、さわれないように、徹底して隠蔽されている。それは例えば家電製品のように、「電源を入れれば、やりたいことがすぐできる」という作り込みに徹している。
ユーザーは、OS配下にあるファイルのディレクトリー構造を見ることはできない。OS上で稼働するアプリケーションにしても、他のアプリケーションにデータを直接受け渡す挙動は許されない。つまり、かなり“ガチガチ”に制限されている。OSに対して特権昇格を図る裏技(俗に言う“脱獄”)を使うと、当然ながらアップルのサポートは受けられなくなる。
一方のAndroid OSは、米グーグルが主導しOSS(オープンソースソフトウェア)として開発や機能強化が進むOSだ。スマートフォン向けのOSを開発していたベンチャー、Android社をグーグルが2005年に買収した経緯がある。基になっているのはLinuxである。標準的なライブラリなどをパッケージした形で配布されている。
iOSとは異なり、ハードへの実装はオープンな「水平分業」で進められる(図2-1)。最終製品に仕上げるのは、国内外の多数の端末メーカー。ディスプレイのサイズや拡張端子などの仕様は各社に任されるので、様々なバリエーションの製品が市場に登場している。
アップルのアプローチに比べると縛りは緩やかだ。PCのようにOS配下のディレクトリ構造を見られるし、ファイル操作のアプリがあれば手も加えられる。SDカードスロットがある機種ならば、データの移動なども楽にできる。
1社完結型のiOSの世界に、ある種の堅苦しさを覚えるとの声もあるが、裏を返せば「余計なことに考えなくて済む」という安心感が伴うのは事実だ。例えばOSのアップデート対応。図2-2を見ても分かるように、スマートデバイスのOSは頻繁にバージョンが上がる。今まさにホットな領域だけに最新版には魅力的な機能が盛り込まれており、「常に最新版にアップデートする」スタイルが半ば“常識化”している。ここでAndroidの場合、複数の端末メーカーが独自機能を盛り込んで最終製品に仕上げているため、うまく適用できないという問題がたびたび起こってきた。“オープン”指向は、時に複雑性を生む側面もある。
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