日本IBMは2012年5月17日、モバイルアプリ開発プラットフォーム「IBM Worklight V5」を発表した。コードの大部分は再利用可能なWeb技術を使って開発、デバイスに依存する機能はネイティブコードで補完するという一連の作業を効率化する。
モバイルをソフトウェア事業の重要領域の1つとして位置付けるIBMは、このところ矢継ぎ早に製品ラインナップを強化している。2012年3月には、PCやスマートフォンなどの端末に対して、一元的にセキュリティポリシーを設定したり、パッチを配信したりする「IBM Tivoli Endpoint Manager」を発表。また、14日に行った企業内ポータルソフト「IBM Intranet Experience Suite V8.0」の発表会では、「IBM Lotus Notes」や「IBM Sterling Commerce(コマース)」などのソフトブランドからもモバイル対応を着々と進めていることを紹介した。
さらに今回は、モバイルアプリの開発プラットフォーム「IBM Worklight V5」を追加し、ポートフォリオの拡充を図った。同製品はEclipseベースの統合開発環境、モバイルクライアント向けの各種ライブラリ、サーバーランタイムとコンソールで構成する。HTML5やCSS、Javascript、Eclipseなどオープンな技術を採用しているので、導入の敷居は低い。1つのソースコードからiOSやAndroidなどの各端末向けのプログラムを生成できるのが特徴で、個別開発が不要な分だけ開発コストの圧縮が見込める。2012年1月に買収したWorklight社の製品がベースになっている。
同様の開発プラットフォームはすでに多数存在しているが、企業システムとの連携で差異化を打ち出す。特徴は主に2つある。1つめは、データ連携ソフト「IBM Websphere Cast Iron」を使った基幹システムとの連携。基幹システムからデータを取得したり、端末での処理結果を返したりできる。「タブレット端末などでカタログが見られるようになれば、その場で在庫状況を確認したり、発注したりしたくなるのは当然の流れだ。モバイルを最大限に活用するためには、基幹システムとの連携が必要不可欠」(WebSphere事業部の三戸篤事業部長)。
2つめは、管理機能。オフラインキャッシュの暗号化機能や、アプリケーションの改ざん防止機能などのセキュリティ機能を備える。アプリに問題があると分かった場合は、管理コンソールから利用を停止したり、アップデートを強制したりできる。Tivoli Endpoint Managerが提供する端末レベルの管理に加えて、アプリケーションレベルでのセキュリティ機能を提供する。
2012年6月16日から出荷を開始する。価格は、配布数が確定しているEnterprise Editionが495万5900円、不特定多数の利用者に配布可能なConsumer Editionが2154万5000円から。また、WorklightとTivoli Endpoint Manager、Cast Ironなど、モバイル活用に必要なソフトをパッケージした「IBM Mobile Foundation V5.0」も提供する。価格は、Enterprise Editionで1281万4500円、Consumer Editionで2696万6000円から。