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「我々がSDNをリードする」米シスコシステムズがクラウド対応製品とネットワーク仮想化技術を発表

2012年6月18日(月)IT Leaders編集部

米シスコシステムズは6月10日から14日にかけ、同社は米国サンディエゴで年次カンファレンス「CiscoLive2012」を開催。それに併せて「Cloud Connected Solution」、「Cisco Open Network Environment(ONE)」という2つのソリューション(製品やサービス)を発表した。2つの発表内容を解説する。

 企業情報システムを支えるIT基盤において、サーバーの仮想化はもはや常識になった。ストレージの仮想化も着実かつ急速に進んでいる。となれば次にくるのは、アプリケーションやユーザーの要求に応じて、帯域や機能を自在に設定できるインテリジェント・ネットワーク=ネットワークの仮想化だ。ネットワークはCIOや情報システム担当者にとっては縁遠い感もあるが、モバイルデバイスやクラウドを活用するには避けて通れない技術である。

 ベンチャー企業が先行するこの分野の技術で、ここへ来て最大手の米シスコシステムズが動いた。6月10日から14日にかけ、同社は米国サンディエゴで年次カンファレンス「CiscoLive2012」を開催。それに併せて「Cloud Connected Solution」、「Cisco Open Network Environment(ONE)」という2つのソリューション(製品やサービス)を発表したのだ。ネットワーク機器最大手であり、関連技術やプロトコルの標準化に大きな力を持つシスコが動いた意味は大きい。2つの発表内容を解説する。

「Cloud Connected Solution」クラウドと企業ネットワークの”一体化”を指向

写真1:WAAS(WAN最適化ソリューション)の
次の一手として、発表したCloud Connected Solution
写真1 WAAS(WAN最適化ソリューション)の次の一手として、発表したCloud Connected Solution

 まずCloud Connected Solution(写真1)。何のためのソリューションかというと、プライベートクラウドを含めた企業ITとパブリッククラウドを、シームレスに接続するものである。企業が契約しているSaaSに支社や工場からアクセスするケースを想定しよう。セキュリティを考慮すると本社のシステムにいったんログインし、そこからSaaSにアクセスすることになる。仮に本社が日本、工場がタイ、SaaSが米国にある場合、通信はタイ→日本→米国になり、タイと米国を直結するのに比べ遅延が発生する可能性が大きい。

 一方、プライベートクラウドのリソース不足をパブリッククラウド(IaaS)で補う、いわゆる“ハイブリッドクラウド”。これを実現するにはプライベートとパブリックのクラウド間の帯域確保や通信状態のモニタリング、セキュリティ管理などが必要になる。広域イーサネットやVPN(仮想専用線)だとセキュリティは確保できても、高価だったり、帯域保証が難しかったりする。パブリッククラウド側がこうした接続に対応しているとは限らず、ユーザー側が用意するとなると、クラウドの特徴である柔軟性を削ぐ恐れがある。

 クラウドを使う以上は、いずれも避けて通れない問題だ。ではどうするか。完全かどうかはさておき、その解決策がCloud Connected Solutionである。すでにシスコが提供中のWAN最適化ソリューション「WAAS(Wide Area Application Services)」のクラウド版であり、実際には①Cloud Connector、②クラウド対応プラットフォーム、③クラウドサービスという3つの要素で構成される。

 最初のCloud Connectorは特定のクラウドサービス(主にSaaS)との通信を最適化するソフト。支店などに設置したシスコ製のルーター(Cisco ISR G2)で稼働し、直接、クラウドサービスに接続できるようにするものだ。サービス利用時のセキュリティや性能、可用性を向上できる。ただし汎用ではないので、SaaS事業者などがCloud Connectorを開発できるよう、シスコはアーキテクチャを公開。採用を呼びかけていく。すでに米国のクラウドストレージ事業者であるCteraがCloud Connectorを提供中で、シスコ自身もWebのセキュリティチェックのためのSaaS「ScanSafe」用を提供している。

 2つ目の「クラウド対応プラットフォーム」は、企業が保有する仮想プライベートネットワーク(VPN)を、パブリッククラウドにも拡張するための製品群。具体的にはパブリッククラウド(IaaS)上のサーバーを使って、仮想的なルーター機能を実現。パブリッククラウドサービス側にユーザー企業がルーターを設置できない問題を解決し、VPNを拡張する。

 そのためにハイパーバイザーで稼働する仮想ルーター「Cloud Services Router (CSR)」を発表した。現時点ではVMware's ESXi 5.0、Citrix Xen 6.0のみの対応だが、Hyper-V やAmazon Web ServiceのCSRも年内に提供予定である。関連でファイアウォールやアプリケーション最適化などの機能を集約したアグリゲーションサービスルーター「ASR」の機能強化も発表した。

 もう一つのクラウドサービスは、クラウドを含めたWAASを管理する製品群。その一つが「AppNav」。米国で5月に参考公開していたものを今回、正式に発表した。AppNavハードとソフトのモジュールからなり、WAASのための複数のインスタンス(物理や仮想のルーター)をクラスタリングし、単一のリソースプールを形成する。これによってトラフィックの状況やアプリケーションの稼働状況に応じてリソースを割り振る、つまり帯域を割り振ることが可能になる。

 クラウドアプリケーションの通信を最適化し、トラブルシューティングを行う「Cisco Application Visibility and Control (AVC)」と呼ぶソフトも発表した。「NetFlow v9」というフォーマットで情報を取得するので、アカウント管理、部門別の課金、ISP(Internet Service Provider)における課金処理などもできる。なおAVCはIAサーバーではなく、シスコ製のサービス統合ルーター「ISR」やASRなどで稼働する。

●Next:Cisco Open Network Environmentが目指すもの

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