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徹底討論! 顧客企業の取り組みに学ぶグローバル時代に求められるITアーキテクチャ、ITアーキテクトとは

2012年11月27日(火)

日本オラクルは2012年9月27日、「オラクル アーキテクト サミット」を開催した。企業システムのグランドデザインを検討するアーキテクトを対象に、弾力性や柔軟性に富み、経営環境の変化にスピーディーに対応し得るIT基盤のあり方をテーマとするものだ。当日の内容をレポートする。

技術力だけではない"バランス感覚"の重要性

NCデザイン&コンサルティング 代表取締役 早津俊秀氏(モデレータ)

ユニチカの事例は、コスト削減のためにSOAを選択したという部分が非常に興味深い。モデレータの早津氏は「SOAはコストがかかるという認識の企業も少なくないが、トータルで見るとコストを抑えられるという点が興味深い」と指摘したが、近藤氏はこれに対し「ERPも検討したが、トータルコストと柔軟性を考えるとERPよりもSOAのほうが有利と判断した」と語っている。

今回、SOA基盤アーキテクチャを構成する重要なテクノロジとしてオラクル製品を採用した理由としては「10年20年に渡る基盤として考えた場合、最終的なコストパフォーマンスにすぐれている製品を選びたかった。とくにBPMとESBまわりのパフォーマンステストは実機を使って徹底して行ったが、オラクル製品がもっとも高いパフォーマンスだった」としている。 

これに対しオラクルの岡嵜氏は「ユニチカは歴史が長い分、独自性も高い。こういう環境にはSOAは適している。ただし、SOAやBPMはユーザ自身が成功したいという意志を強くもっていないとうまくいかない。その点でもユニチカの姿勢はすばらしい」と評価する。 

岡嵜氏が指摘するように、SOAはユーザ企業側に相応のスキルと知識が求められるケースが多い。「総論としてSOAがすぐれていることはわかるが、プロジェクトとして組成するにはかなり困難なのでは」という早津氏からの質問に対し、近藤氏は「SOAはたしかに概念なのでわかりにくい部分が多い。ERPパッケージを導入するのとはわけが違う。現場からは"そんなものを作って意味があるのか"とも言われる事もあるが、地道に説得を重ねてきた。上司が後押ししてくれたことも大きい」と回答している。 

NEC ITプラットフォームサービス事業部 シニアエキスパート 横山招生氏

また、ユニチカでは社内SEの技術力を高める重要性も強く認識しており、「ビジネス・プロセスの変革などに踏み込むならば、クラウド時代だからこそベンダやSierに丸投げするのではなく、自分で考える能力をメンバー自身がもたなくてはいけない。その努力の積み重ねが結果的に経営に貢献する」と強調する。SIを担当したNECの横山氏は「SOAの王道とも言うべき事例。グランドデザインの重要性はまさにそのとおりで、ユーザ企業に最適なデザインはユーザ企業自身にしか描けない」と語る。

グローバルで戦っていくための基盤としてSOAに取り組んでいるユニチカだが、ビジネス・ボリュームに応じて、ITへの要望が高まるのは自然なことだと近藤氏は語る。ニーズや環境は変わっていくものだからこそ、どんな状況でも柔軟で俊敏に対応できるITシステムがグローバル化では求められている。

現在、多くのユーザ企業が注目しているアーキテクチャについては、「グローバルで情報を見える化したい、マスターデータを統合したいという要望がすごく多くなってきている。また、世界のどこにいてもビジネスを迅速に立ち上げられるようにクラウドに対する期待も大きい」と岡嵜氏は言う。とくにクラウドへのニーズは高まっており、オラクルではFusion Applicationsを筆頭にしたクラウド・サービスの品揃えを増やすなど積極的に展開している。

クラウドに対してはセキュリティに対する不安の声をよく聞くが、「いまではオンプレミスもクラウドも脅威の程度にそれほどの差はない」と横山氏は指摘する。またセキュリティ以外のクラウドに対する懸念として、早津氏は「クラウドが企業ITに入り込んでくると、アーキテクチャが複雑化し、全体的なコストが増加するのではないか」という疑念を呈した。これに対して近藤氏は「ユーザ企業としては、運用も含めたクラウドのコスト・メリットを考えていかないといけない。現時点では明確な答えをもっていないが、今後さらに議論されていくだろう」と答えている。

また、クラウド時代に求められるSIerの役割について、横山氏は「クラウド時代の到来はSIerにとって厳しい時代の幕開けではないかとよく言われるが、我々もシステム・インテグレータではなく、サービス・インテグレータに変わっていく必要がある。お客様の戦略に直結した付加価値を提案できるようにならないと厳しい時代に生き残ることはできない」とコメントした。クラウドが避けては通れないアーキテクチャのトレンドだからこそ、エンドユーザもベンダもSIerも、互いをパートナーとして信頼しあっていくことが一段と重要になる。

クラウドがITを複雑にするリスクを抑えるには、すぐれたITアーキテクトの育成が欠かせないというのは参加者全員の一致した見解である。最後にそれぞれの立場から、ITアーキテクトの役割についての意見を示しておく。

  • ユニチカ 近藤氏
    企業にとって、情報を使いこなすのはもはや死活問題。
    情シスの役割は昔と大きく変わってきており、ユーザ企業の技術者はビジネスを適切な粒度で掴む力をもつ必要がある。
    そういう力をもっているからこそ、ベンダやSIerと横のつながりができ、パートナーとして一緒に成長していくことができる。
    テクノロジ、ビジネス、コミュニケーションを含めて一点に偏らないバランス感覚が求められており、場数を踏まないとなかなか成長は難しい。
    とくに上流に行けば行くほどバランス感覚は重要になる。
  • オラクル 岡嵜氏
    オラクルには、製品ソリューションを軸としたアーキテクトとソリューションを横断してお客様を支援するエンタープライズ・アーキテクトの2種類のアーキテクトが存在する。
    現在、グローバルでエンタープライズアーキテクトの育成を推進している。
    お客様からの要求を製品にきちんと紐付けできる能力、一段上の視点で全体を俯瞰できる能力、物事を構造化して考える能力、お客様に必要な要件を伝えきる能力が求められる。
    育成方法はいろいろあるが、やはり場数を踏むことが最も大切である。
  • NEC 横山氏
    NECでは10年ほど前からSEのキャリアパスとして、アーキテクトやPM等を選択できるようになった。専門性の高いSEを分野ごとに認定する制度で、お客様が属する業界に対する知識の軸と、ハードウェア/ソフトウェア/ミドルウェアなどのITソリューション・レイヤを中心とした軸に分かれている。
    資質として重要なのはやはりバランス感覚。
    単に技術がわかるだけではスペシャリストでしかない。SIerの立場であれば「やりぬく」という意志の強さが絶対に必要である。

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