ネットワークアプライアンスベンダーの米A10ネットワークス(A10 Networks)の日本法人は2013年5月30日、ADC(Application Delivery Controller)の新製品を発表した。ADCの機能を実現するための独自OSをバージョンアップするなどで、スマートフォンなどからのトラフィック増の一方で、DDoS攻撃など高度化する外部アタックの防御機能などを高めた。この新OSから、ADCのシリーズ名を従来の「AX」から「Thunder」に改める。
A10ネットワークスがThunderブランドで発表したのは「Thunder 6430S」「同6430」「同5430S」の3製品(写真1)。6430S/6430は、1Uの筐体に40Gbpsポート×4と1/10Gbspsポート×16を搭載し、530万L4 CPS(レイヤー4コネクション/秒)と150Gbpsのアプリケーションスループットを実現する。
写真1:Thunder 6430の外観
5430Sは、6430S/6430が2個搭載する8コアのインテルXeonプロセサを1個にしたモデルで、280万L4 CPSと77Gbpsのアプリケーションスループットを実現する。製品名の「S」は、SSLアクセラレーションを実現するハードウェアを搭載することを指している。
いずれの製品も、DDoS攻撃を防御するための専用ハードウェア「FTA(flexibleTraffic ASIC)」の最新版「FTA-3」を搭載する。これにより、DDoS攻撃の防御性能は、従来の4倍にまで高まったという。6430S/6430はFTA-3を4つ、5430は2つを、それぞれ持っている。
独自OSである「ACOS(Advanced Core Operating System)」を今回、ACOS 2.7.1にバージョンアップした。Webアプリケーションファイアウォール(WAF)や、SSLインターセプト、DDoS防御、アプリケーションアクセス管理(AAM)などを可能にした。WAFは、アプリケーションレベルで情報漏洩を防ぐ機能、AAMはADC上でID/パスワードによるユーザー認証を実行する機能である。
これらの機能は、ADCやロードバランサの機能同様、ACOS上で動作するモジュールとして提供される。ユーザー企業は必要な機能を追加のライセス料金なしで利用できる。A10では、この仕組みを「UASG(ユニファイド・アプリケーション・サービス・ゲートウェイ)」と呼んでいる。
A10はこれまで、主要顧客層をデータセンター事業者などに絞り込んできた。今後は、金融サービスやeビジネスを展開するサービス事業者や、多地点展開する製造業などにも売り込みたい考えだ。
写真2 Thunderシリーズを発表するA10ネットワークス日本法人社長兼CEOの小枝逸人氏。南APACのバイスプレジデントでもある