米レッドハットの日本法人は2013年7月23日、クラウド基盤を構築するためのソフトウェア群である「OpenStack」に基づく同社製品の国内提供を開始したと発表した。当面は、レッドハット自身が直接、販売し導入をサポートすることで、先進企業におけるOpenStackベースのクラウドが安定稼働することの実証に注力するという。

レッドハット日本法人の廣川裕司社長
国内提供を開始したのは、OpenStackを使ったクラウド環境を構築するための「Red Hat Enterprise Linux OpenStack Platform」と、OpenStackを使ったクラウドとオンプレミス環境などを組み合わせたハイブリッド・クラウド環境を構築するための「Red Hat Cloud Infrastructure」の2製品。いずれもOSS(オープンソースソフトウェア)のOpenStackを企業ユースに最適化した「Red Hat OpenStack」をコアに持つ(写真2)。
Red Hat Enterprise Linux OpenStack Platformは、Red Hat OpenStackとRed Hat Enterprise Linux(RHEL)を組み合わせたもの。ここでのRHELは、Red Hat OpenStackが稼働するように最適化を図っている。
一方のRed Hat Cloud Infrastructureは、Red Hat Enterprise Linux OpenStack Platformに、オンプレミスを加えた複数のクラウドを一元管理するための運用管理ツール「Red Hat CloudForms」と、仮想化環境の「Red Hat Enterprise Virtualization」を組み合わせた製品である。Red Hat CloudFormsは、この1月に買収した旧ManageIQの製品だ。
レッドハットの廣川裕司社長は、「これまで、OSSはベンダー製品の後追いや代替だった。だが今後は、OSSが技術を切り開いていく。レッドハットは、OSS製品がもとらすイノベーションと顧客企業を『CONNECT(結び付ける)』していく」と、クラウド製品投入への意気込みを語った。
クラウド用の両製品は当面、レッドハットが直接に顧客に販売し導入をサポートする。製品・ソリューション事業統括本部長の纐纈 昌嗣 常務執行役員は、「OpenStackは新機能の追加など成長過程にあり、確実に安定稼働するわけではない。まずは当社が直接サポートし、OpenStackによるクラウドが構築・運用できることを実証する。ビジネスとしては、その後で十分だ」と話す。
クラウド事業者のほか、グローバル展開を図っている大手企業ユーザーからも導入に向けた声が挙がっているという。「グローバルなITインフラを一元管理したいというニーズがある」(纐纈 常務執行役員)からだ。
2ソケット・サーバー×10台(Compute Node×5台、コントローラ/ストレージ×5台)でクラウドを構成する際のサブスクリプション価格は、Red Hat Enterprise Linux OpenStack Platformが約363万9000円(平日9時から17時の電話/Webによるサポートを含む)、Red Hat Cloud Infrastructureが約597万9000円(同)。2013年9月からは、Red Hat OpenStackのシステム管理トレーニング「Red Hat OpenStack Administration」も、21万円(3日間)で提供する予定である。