ストレージベンダーの米ネットアップ日本法人は2013年8月5日、同社製ストレージに保存したデータを米アップルのiOSデバイスから参照するための接続用ソフトを日本市場に投入すると発表した。先行して実施した金融機関などへの事前提案では、既存のストレージ環境を変更することなくセキュリティを考慮したモバイル対応が可能になる点が好評価を得ているという。
ネットアップが国内発売した「NetApp Connect(ネットアップ コネクト)」は、NetApp製ストレージに保存したデータをiPadなどのiOS搭載端末から参照するためのソフト。買収した旧アイアングリッドの技術をベースに開発した製品で、VPN(仮想私設網)の設定や認証ツールを追加導入することなく、ネットアップのストレージ環境をモバイル対応にできる(画面1)。
NetApp Connectは、「NetApp Connect Server」と「Connect Broker」からなる。Connect Serverをストレージがあるイントラネット環境に、Connect BrokerはDMZ(非武装地帯)に、それぞれを置く。Connect Broker を介することで、iOS端末からのアクセス要求がイントラ内に入ることなく、Serverが集約したデータを端末上に表示することでセキュリティを担保する仕組みだ。
NetApp Connectでは、ネットアップ製ストレージのほか、米シトリックス・システムズ製の「Citrix ShareFile」と米ヴイエムウェア製の「VMware Horizon Suite」が提供するモバイル環境とも連携したデータ共有も可能になるという。
今回の発表に先立ちネットアップ日本法人は、7月11日にストレージOSの最新版である「clustered Data ONTAP 8.2」の、7月23日にはAmazon Web Services(AWS)上でネットアップ環境を提供する「NetApp Private Storage for AWS」の日本市場投入を発表している。
これらの環境にNetApp Connectを組み合わせることで、ストレージの存在場所を問わずに、iOS搭載端末から各種ファイルの内容を参照することが可能になる。その点が、製品投入に先立つ金融機関など大手企業への説明では「高い評価を受け、見積書を作成・提出している段階にある」(マーケティング本部の篠木隆一郎戦略企画推進室 室長)という。「機密情報の客先での提示や、商品カタログなどの内容を最新に保つための電子化による一元管理といった用途が想定されている」(同)。
NetApp Connectの価格は、販売パートナーが決めるが、ストレージを管理する「Controller」当たりの参考価格は100万円前後である。