データベース監査ツール「PISO」をはじめとして、データベースに特化したビジネスを展開するインサイトテクノロジー。データベースに関して卓越した知見を有する同社に、2013年7月に提供が開始された「Oracle Database 12c」がどのように変わり、企業にどのようなメリットをもたらすのかという点を中心に話を伺った。
データベースに特化したビジネスを展開
株式会社インサイトテクノロジー
ビッグデータ・ソリューション開発部
新久保 浩二 氏
株式会社インサイトテクノロジーの創業は1995年。データベースに特化したコンサルティングサービス、データベース監査ツール「PISO」などのソフトウェア開発を中心に、2012年にはオープンデータベースアプライアンス「Insight Qube」を発表。現在はデータベースを中心とした“人”“ソフトウェア”“ハードウェア”の3本柱でビジネスを展開している。開発を担当するビッグデータ・ソリューション開発部の新久保浩二氏はInsight Qubeを次のように紹介する。
「当社は、オラクルデータベースのエンジニアを中心に創業した企業です。昨年発表したInsight Qubeは、コンサルティングサービスやソフトウェア開発で長年培ってきたデータベース開発/運用のナレッジを注ぎ込み、データベースを高速に動かすハイパフォーマンスマシンとして開発しました」
Insight Qubeは、データ転送速度6GB/secから24GB/secまで拡張可能な超高速データベースマシンだ。DWH、基幹システム、情報システム、新規事業向けシステムなど、さまざまなデータベースに対してきわめて高いパフォーマンスを提供する。現在のところ、分析系のシステムでの利用が多いという。
「Oracle Database 12c」に対する顧客の反応
株式会社インサイトテクノロジー
ビッグデータ・ソリューション開発部
山下 正 氏
「マルチテナント・アーキテクチャ」の採用をはじめ、オラクルが「データベース・クラウド」と呼ぶ環境に向けて機能強化した「Oracle Database 12c」。2013年7月、いよいよその提供が開始された。インサイトテクノロジーの顧客は新たに登場した12cに対しどのような反応なのか。発表されたばかりということもあって、まだ具体的な導入というところまではいかないものの、やはり興味を持つ企業は多いと、ビッグデータ・ソリューション開発部の山下正氏は語る。
「マルチテナント・アーキテクチャを取りれたことで、運用や管理がどう変わるのか。どんなメリットがあるのかと、多くのお客様が興味を持たれます。特に、100、200と多数のデータベースを運用している企業では、マルチテナントによるデータベース統合に興味を持たれます。また、データを動的にマスクできる『Data Redaction』機能についても多くのお客様が高く評価しています」(新久保氏)
Data Redactionは、アクセスするユーザーやアプリケーションに応じてデータを動的にマスクできる機能。ユーザーに対しポリシーを設定することで、結果の返し方を設定することができる。データベースの元データではなく、エッジでマスクでき、セキュリティ的にも評価されているという。
では、インサイトテクノロジーとしてはOracle Database 12cをどのように評価しているのか。発表後間もないということで各部署で検証、調査なども進められているということを前置きしたうえで、山下氏は次のように語る。
「マルチテナント・アーキテクチャによって、従来の個別データベースに相当するプラガブル・データベース(PDB)と、それをマルチテナントに統合するマルチテナント・コンテナ・データベース(CDB)という2種類のデータベースが登場したわけです。そのことが運用面でどのような影響を及ぼすのかに着目し、検証を進めています。CDBとして数多くのデータベースを統合するのは運用上大きなメリットがありますが、そのなかでPDB単位で問題が出てきたときに切り分けはどうするのか。そもそも運用やチューニングなどをどうするのか。こうしたところも、今後詰めていくつもりです」
容易なデータベース移行こそ真のメリット
マルチテナント・アーキテクチャについて新久保氏は、「データベースの移行が容易になる」という点こそ、どのユーザーでも享受できるOracle Database 12cの本当のメリットではないかと語る。
「データベースの移行はデータベースエンジンだけでなく、その周辺のアプリケーションや作業する人のスキルなどにも依存するもので、これまで長い時間とコストがかかっていました。Oracle Database 12cのエンジン自体がそういう部分をサポートしたことは、大きなメリットにつながると思います」(新久保氏)
データベースはいずれサポート期間が切れ、新バージョンに移行する必要が生じる。そこで重要となるのは、早期に調査を行い、移行スケジュールなどの計画を立てておくことだと新久保氏。そうした観点でも、マルチテナント・アーキテクチャの採用で移行が容易になったOracle Database 12cには期待できるという。
山下氏も、「Oracle Database 12cという話だけでなく、データベースのバージョンを計画的に上げていくことは、ビジネスにおいて非常に重要です」と同意見だ。
クラウド(Cloud)もしくはコンソリデーション(Consolidation:統合)の“c”を名称に取り込んだOracle Database 12c。信頼性、可用性、運用管理性、セキュリティなどさまざまなメリットが強化されたが、ビジネスを支えるデータベースにとって重要なのは計画的なバージョンアップだと2人は口を揃える。Oracle Database 12cは将来を見据えた運用が行えることも大きな特長の1つなのだ。
住所 | 東京都 |
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Webサイト | http://www.insight-tec.com/ |
事業内容 | インサイトテクノロジーは、Oracleデータベースのプロフェッショナル集団として、Oracle Databaseのパフォーマンス管理ツール「Performance Insight」や、データベース監査ツール「PISO」の開発・販売をはじめ、ハイパフォーマンスのデータベースマシン「Insight Qube」の開発・販売、Oracleのパフォーマンスチューニングや、データベース設計から運用まで一貫したコンサルテーションを国内外に提供しています。 |