2013年11月13日から15日にわたり開催された国内最大級のデータベース技術者向けイベント「db tech showcase 東京 2013」(主催:株式会社インサイトテクノロジー)から、富士通のセッション「PostgreSQLとSymfowareの融合」のレポートをお送りする。このセッションでは、オープンなデータベースをミッションクリティカルな領域にも適用すべく、富士通が培ってきた技術や取り組み、オープンデータベースとハードウェアを統合したアプライアンスマシンなどが紹介された。
オープンインターフェースへの取組み
登壇した富士通株式会社の秀嶋元才氏は最初に、「お客様の間で、OSSファーストの流れが加速しています」と指摘した。OSSファーストとは、システムやソフトウェアの導入にあたり、まずはOSS(オープンソースソフトウェア)の適用可能性を探るという考え方だ。OSSの採用により、コストの削減だけではなく、OSSを取り巻く豊富なツールやノウハウ、コミュニティの開発力を活用しようというのだ。
欧米では企業のOSS利用は当然のものとなっており、日本国内においても、銀行や証券取引所、官公庁・自治体といったミッションクリティカルな現場を含め、積極的にOSSを活用しようという機運が高まっていると秀嶋氏は言う。
このようにOSSの採用が進む背景には、商用ソフトウェアによるベンダーロックインへの懸念がある。例えば、既存システムに新規業務を追加する際、商用データベースを使っていたら選択肢が左右されるといったことが起こりうる。ビジネスの進展にあわせてシステムを拡張していくなかで、将来の選択肢が限定されるということは避けたいという懸念が、OSSを採用するという動きを加速させているのだ。
「富士通でもそうしたお客様の懸念を解消し、利便性を向上していくために、OSSを活用していこうという動きが進んでいます」(秀嶋氏)
富士通では、すでにさまざまな形でOSSを活用している。システムインテグレーションやサービスでOSSを積極的に利用しているほか、今回のセッションのメインテーマでもあるPostgreSQL互換のオープンインターフェースを「FUJITSU Software Symfoware」に取り入れるなど、さまざまな取り組みが積極的になされている。
ただし、特にミッションクリティカルな領域においてOSSを活用するのは、利用者側からすると、業務継続性、性能、操作性、サポートといった面で不安がある。
「こうした不安に対して、富士通が“安心”を保証します。SymfowareにPostgreSQL互換のオープンインターフェースを組み込むことで、OSSの自由度と商用データベースの信頼性を両立します」(秀嶋氏)
富士通では、以前よりPostgreSQLの活用に取り組み、豊富なノウハウを有しているうえに、PostgreSQLのコミュニティにも積極的に参画。商用データベースと同等のユーザビリティを実現するための活動を行い、ユーザーが安心して利用できる環境づくりを支援している。