2013年11月13日から15日にわたり開催された国内最大級のデータベース技術者向けイベント「db tech showcase 東京 2013」（主催：株式会社インサイトテクノロジー）から、富士通のセッション「PostgreSQLとSymfowareの融合」のレポートをお送りする。このセッションでは、オープンなデータベースをミッションクリティカルな領域にも適用すべく、富士通が培ってきた技術や取り組み、オープンデータベースとハードウェアを統合したアプライアンスマシンなどが紹介された。
ハードとPostgreSQLを融合させる！
セッションの最後に紹介されたのが、「FUJITSU Integrated System HA Database Ready」である。PostgreSQLと完全互換のインターフェースを採用し、現在PostgreSQLで利用しているアプリケーションをそのまま利用できる垂直統合型データベースシステムである。
同製品は、ハードウェアとソフトウェアが最適な形で統合されており、導入時には複雑な設定作業などが不要で、すぐに稼働を開始することができる。運用については、富士通の統合運用管理ソフトウェア「Systemwalker」の技術による監視機能を搭載し、同システムの稼働状況が一目で把握できるようになっている。
セッションで秀嶋氏は、同製品の堅牢なデータ保護とハイパフォーマンスという面にフォーカスし、以下のを3つの特長について解説した。
データの三重化
「HA」という名が示すとおり、Symfoware独自のミラーリング技術によってシステムを完全に二重化、さらにストレージに自動バックアップを行う三重の冗長構成でデータを保障する高い信頼性を備えている。
異常が発生してデータベースが切り替わっても、アプリケーション側は切り替わりを意識する必要はなく、業務を継続させることが可能だ。論理層および物理層で発生する故障をパターン化した情報をもとに分析を行い、適切な方法で復旧作業を自動実行する。
復旧手順の自動化
データベースの故障パターンを4つに分類し、それぞれのパターンで最適な復旧手順をあらかじめ組み込んでおくことで、従来であればデータの復旧にはサポート技術者による検証と確認という作業が必要なところを、ワンクリックで素早くデータを復旧することが可能となっている。
正副両方のサーバがダウンした場合でも、ストレージのバックアップを利用し、片方のサーバを復旧させ、速やかな業務再開が可能だ。
PCIe SSDで高速化
高速なPCIe SSDにデータベース全体を搭載することで、圧倒的なI/O性能を実現している。秀嶋氏によると、PostgreSQLとの性能比較で約5倍という高いパフォーマンス効果が発揮されたという。
今後求められるデータベースシステム
db tech showcase 東京 2013では、この「PostgreSQLとSymfowareの融合」をはじめとして、約80ものデータベースに関するセッションが開催され、どのセッションも盛況の内に幕を閉じた。有料のイベントにも関わらず、多くの参加者を集めたのは、データベース技術者のみならず、多くのビジネスパーソンがデータベースを重視し、その動向に関心を寄せているから証左であろう。
ビッグデータ、クラウド、オープン化、さらにワークスタイルの変革やリアルタイムの情報活用など、企業の情報システムを取り巻く環境は大きく変化している。これからの情報システムには、そうした変化に迅速に対応することが求められている。もちろん、それはミッションクリティカルなシステムも例外ではなく、従来と同様の信頼性や堅牢性とともに、高い柔軟性を兼ね備えることが必須なのだ。
以上のことを踏まえれば、ミッションクリティカル用途に耐えうる信頼性や堅牢性と、OSSの柔軟性を兼ね備えたSymfoware、FUJITSU Integrated System HA Database Readyの登場は、時代の要望だと理解できるはずだ。今後も富士通では、PostgreSQLなどのOSSに同社ならではの価値を付加して、そうした要望に応えていく構えだ。
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