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AIプロジェクトを「PoC止まり」にしないために─Y Combinatorに学ぶ、課題発見と事業化のコツ

アイデアを探し、磨き、形にするためのアプローチ

2026年2月24日(火)丁 晟彦(Ridgelinez Research Center Manager)

AI技術の進化はかつてない速度で進み、ビジネスや組織のあり方に大きな変化をもたらしている。ITリーダーは日々飛び交う情報の中から本質を見極め、戦略的に評価する視座が求められている。本連載では、国内外の最新動向やユースケースに詳しいリサーチャーが、AIとデジタル活用をめぐる注目のトピックや背景を読み解き、ビジネス変革に向けた思考の材料を提示する。第3回となる今回は、世界的なインキュベーターである米Y Combinatorが配信するポッドキャスト番組「Lightcone」を手がかりに、同番組で紹介された複数のAIスタートアップの事例 を参照しつつ、AIプロジェクトをPoC(概念実証)止まりにしないための課題発見の視点や事業化の勘所を整理する。

 多くの企業が生成AIに期待を寄せ、さまざまな形でPoC(Proof of Concept:概念実証)に着手している。しかし、実用化や事業化という次の壁を越えられず、頓挫するプロジェクトも少なくないのが現状だ。

 AIを活用した新規事業開発やDX推進の取り組みを一過性の試行で終わらせず、持続的な営みへと深化させるためには、どのような戦略やアプローチが求められているのか。参考になるのが、世界的なインキュベーターである米Y Combinator(以下、YC)がビデオポッドキャスト番組「Lightcone」のエピソード、”How To Get AI Startup Ideas(AIスタートアップのアイデアを得る方法)”で紹介した、仮説検証を繰り返しながら着実に事業化に近づいているAIスタートアップの事例だ(図1)。

 本稿では、YCが繰り広げている議論を手がかりに、番組で紹介されたAIスタートアップに共通する傾向を整理し、PoCを事業に接続するうえでの要点を明らかにする。

写真1:Y Combinatorのビデオポッドキャスト番組「Lightcone」(出典:Y Combinator YouTubeチャンネル)

アイデア創出から実装まで、3フェーズのフレームワーク

 YCが支援するスタートアップの事例には、日本企業にとっても参考になる示唆が多く含まれている。以下では、事業の種となるアイデアの獲得、その有効性の検証、そして実装という3つのフェーズに分け、PoCを前に進めるために有効となるポイントを示す。

フェーズ1:事業の種となるアイデアの獲得

 YCは、すぐれたアイデアは創業者自信の経験や専門性に基づく「内面の探索」や、業界で未発見の課題を見つけるための「外部への潜入」といった行動から生まれると説いている。あくまで1つの指針ではあるが、スタートアップに限らず、企業内の新規事業開発やDX推進にも当てはまる考え方だといえる。本稿ではYCによる例示から見えてきた、2つの戦略を紹介する。

●Next:すぐれたアイデアに出会うための2つの戦略

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