富士通が12月上旬、記者向けの説明会で「データ統合サービス」の提供に注力していくことを表明した。その背景と中身について解説する。
必要に応じて情報システムの改修も行う。データウェアハウスなど分析用途ではなく、情報システム全体の柔軟性・変化対応力の向上を意図しているためだ。「当社では必要なシステム機能を迅速に提供したり、最新のITを柔軟に取り入れられるようにするNextアーキテクチャを推進している(図3)。このアーキテクチャに欠かせないのがデータ統合。アプリケーション・プログラムからDBMSを分離し、統合するものだ(図4)」(中村氏)。
システム改変を伴う最適化のハードルは当然、高くなる。「現実にはデータ変換テーブルを用意するなど、システム改修を最小限に抑える取り組みが必要になる」(前田氏)。当然だが、すべてを手作業で行うわけではなく、SI事業で使うことを想定して開発したデータクレンジングツールやクロスリファレンスツール、業務機能関連図やデータ機能マトリクスといったツール・手法を活用するという。
さらにマスターデータ管理(MDM)のためのソリューションの提供や、データ品質を維持するための体制作りなどデータガバナンスに関するコンサルティングも提供する計画だ(図5)。とはいえ、昔からあったデータ統合問題になぜもっと早く手を付けなかったのか、データ統合に要する費用や期間に言及しなかった点も含めて、多少の疑問は残る。
加えてこの話は記者向けの技術説明会の場での表明であり、データ統合や統合基盤に関わるサービス必ずしも詳細に煮詰められているわけではないようだ。それでも富士通のような大手IT企業が、ようやくこの問題に本腰を入れることを表明したのは朗報と言えるかも知れない。早期にサービスの具体像を明らかにして正式発表することを期待したい。