近年、サイバー脅威の複雑化とサプライチェーン攻撃リスクが高まり、企業は包括的なセキュリティ対策の必要性に直面している。人材不足も相まって、企業はより高度で統合された防御策を模索している。そんな中、米BlueVoyantは、統合型セキュリティプラットフォームの提供を通じて、単なる脅威の検出・評価にとどまらない“積極的防御”を訴えている。同社CEO兼共同創設者のジム・ローゼンタル氏と、ジャパン・カントリーマネージャーの内田太樹氏に話を聞いた。
創業のきっかけは金融業界のサイバーセキュリティ課題
2017年に創業したBlueVoyant(ブルーボヤント)は、内部ネットワーク、エンドポイント、サプライチェーンの脅威をリアルタイムで監視する「BlueVoyant Cyber Defense Platform」を開発・提供するセキュリティベンダーである。グローバルの従業員数は770人、40カ国で約1000社の顧客を抱える。
同社 CEO兼共同創設者のジム・ローゼンタル(Jim Rosenthal)氏(写真1)は、米モルガン・スタンレーでのキャリアに加え、証券産業金融市場協会の会長職などし、金融業界全体のサイバーセキュリティ強化に携わった経験を持つ。
BlueVoyantを創業した背景には、モルガン・スタンレーや米JPモルガン・チェースのような大手金融機関はすぐれたサイバー防御を確保できるが、大多数の企業はそれに必要な資金や人材を確保できないという現実への気づきがあった。ローゼンタル氏は、「十分なサイバー防衛を構築できない企業に、高品質の防衛を提供したいと考えました。また、内部防衛は整っていても外部防衛に力を入れる必要がある企業の課題にも対応したいと思いました」と創業の動機を説明する。

同社プラットフォームの強みは、内部と外部の両方のセキュリティを統合的に管理できる点にある。ローゼンタル氏は次のように強調する。「私たちは内部と外部の両方のサイバー防衛を提供する統合プラットフォームを提供していますが、これは非常に珍しいことです。ほとんどの企業はどちらか一方に特化していますが、私たちは両方を統合的に実現します」。
●Next:3つの主要なセキュリティ課題に向き合うアプローチ、AIと人間の専門性の融合による脅威対応
会員登録(無料)が必要です
- 1
- 2
- 3
- 次へ >