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富士通のDWH製品、RedHatのデータ仮想化製品など、2月下旬のDWH関連のベンダー動向を見る

2014年2月26日(水)田口 潤(IT Leaders編集部)

2014年2月後半に、データウェアハウス(DWH)関連の発表が相次いだ。必ずしも、すべての詳細を把握する必要はないにせよ、IT Leaders読者の方には、こうした動きを抑えておいてほしい。どんな発表があったのかを紹介しよう。

2014年2月13日に発表があったのは、アクセンチュアと日本テラデータの国内パートナープログラムの契約締結。具体的には、アクセンチュアが提供するビッグデータ分析のコンサルティングや分析基盤の導入、アウトソーシングの受託などにおいて、Teradata製品が加わるというものだ。

とはいっても、金融や流通、通信などの業種が多い両社の顧客は元々、重複があり、実際、ニュースリリースにも「(両社は)銀行、証券、流通などの業種で協業実績を積み重ねてきた」とある。今さら契約締結する必要はないように思えるが、アドホックな協業よりも、販売条件や役割などに関して明確な契約を結んでおく方が、何かと便利といったところかも知れない。

2月19日には富士通がデータウェアハウスの新製品「Symfoware Analytics Server」を発売した。特徴はカラム(列)型データストアを採用したこと。従来のロー(行)型のデータストアを採用したDWHに対し、最大で500倍の検索性能だという。同じデータ項目だけをまとめたカラム型にすれば検索や集計処理を高速化できるのはDWH分野では常識。富士通が追いついたといったところだが、ハードウェア資源を自動認識して最適なメモリ割り当てを行う「スマートチューニング」、現場の担当者がデータの加工フローを定義できる「GUI」やテンプレートも備える。WindowsServer2008で稼働する。

DWH製品は今後年率20%で成長するとITR

レッドハットが2月20日にリリースしたのは、「Red Hat JBoss Data Virtualization 6(DV6)」。メインフレームのDBMSやSQL対応のリレーショナルDBMS、Salesforce CRM、XML形式のデータベースなど、企業が保有する様々な形式の複数のデータソースに接続し、”仮想的”にすべてのデータソースを統合したDWHを構築するツールである。

ここで”仮想的に”の意味は、物理的なデータは保持せず、DV6がデータソースとの間の接続情報と定義情報だけを持つこと。BIツールなどからDV6にアクセス要求があると、その都度、データソースにアクセスしてデータを取得する。この点でEAIツールに似ているが、DWHが主用途である点がまったく異なる。

ここまで読んで「レッドハットには似た製品がなかったか?」と思った読者は、相当詳しい。その通りで、DV6は「Red Hat JBoss Enterprise Data Services」という製品の名称を変更し、機能強化を施したものだ。強化点の1つがデータソース用のアダプタの充実。具体的にはSAP HANA、Hadoop/Hive、MongoDBなどを追加した。データをビジュアルに表示するダッシュボード機能や開発ツールも新たに用意した。

「データ仮想化はニッチな製品に思えるが、ポテンシャルは高い」。レッドハットはこう語るが、確かにそういう面はある。物理的なコピーをしないので、データ品質を維持しやすいし、仮想化につきものの性能(この場合はレスポンス)に関わる問題は「今日のIT環境ではほとんど問題になることはない」(同社)。年間サブスクリプション料は、16コアのサーバーの場合で468万円からとなっている。

最後に2月後半ではないが、2月6日にアイ・ティ・アールが発表した、DBMSの市場調査レポートからDWHの状況を紹介する。同レポートによると、RDBMS、DBアプライアンス、ETLなどの分野の中で2013年にトップの伸びを示したのはDWH用DBMSで、前年比43.8%と大幅増(2012年も前年比55.4%と高成長)。SAP HANA関連や、マイクロソフトのSQL ServerをベースとしたDWHの伸びが牽引していると分析する。

図 DWH用DBMS市場規模推移および予測(出典:ITR)

加えて「DWH用DBMSの導入ニーズは高まりつつあり、2012年度から2017年度までの年平均成長率(CAGR)は20.9%と高い伸び」という。ビッグデータの分析・活用はもちろん重要だが、それ以前に企業が持つ様々なデータを分析する方が優先するという現実的な判断が背景にあるようだ。

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