NTTデータは2014年3月20日、バチカン図書館が所蔵する歴史的文献のデジタル化事業に参画すると発表した。2世紀から20世紀にかけて記された8万冊の手書き文書を後代に残すためのデジタルアーカイブシステムを構築する。
デジタル化の対象は、マニュスクリプト(manuscript)と呼ばれる、一点ものの手書き文献。歴史、法律、哲学、神学などの分野で研究的価値の高い資料、金銀などで装飾された装飾写本など、約8万冊、約4000万ページある。
バチカン図書館はマニュスクリプトを厳重に保存管理してきたが、時間の経過とともに劣化が進んでいるものも少なくない。特に、羊皮紙やパピルスに書かれているものは、いずれ解読不可能になる可能性が高い。
今回のプロジェクトでは、これらの手書き文献をデジタル化。後世に受け継ぐための仕組みを整える。デジタル化した文献は、バチカン図書館のWebサイト上で高精細画像データとして公開する。学術、美術、教育分野での活用促進を図る。
NTTデータは、約3000冊を4年間でデジタル化する初期契約を締結、調印した。文献のデジタル化作業と、データを長期保存し、広く公開するためのITシステム構築を担う。プロジェクト費用は約23億円。最終的には、図書館が所蔵するマニュスクリプト全てをデジタル化する計画だ。
日本の国立国会図書館のデジタルアーカイブシステム構築などで培ったノウハウを活かす。具体的には、持続可能性の高い保存フォーマットを採用する。メタデータ管理や検索アルゴリズム、検索インタフェースに工夫を凝らして、検索性を高めるといった取り組みを予定している。システムには、デジタルアーカイブサービス「AMLAD」を使用する。
バチカン図書館は、世界最古の図書館の一つ。ローマ教皇ニコラウス5世が1448年に設立した。代々教皇が受け継いできた古写本数百点からスタートした同館は、遺贈や購入により世界中の文献を収集し、現蔵書数は110万を超える。
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