情報処理推進機構(IPA)が2014年度版の「IT人材白書2014」をまとめた。2013年秋に、ユーザー企業や、IT企業、教育機関、個々のIT人材などに対する調査を実施し、分析を加えたものだ。2014年4月25日以降、IPAのサイトから全文をダウンロードして閲覧できるので、ぜひ参照したい。
●ユーザー企業の67%が海外で何らかの事業活動を実施しているが、IT企業の海外展開は技術者派遣もITサービス提供も10%未満で大きなギャップがある
●ユーザー企業におけるグローバルIT戦略策定は52.5%が本社で実施。ただし投資案件管理やシステム開発などは多くが現地で実施する
●「グローバルITを担う人材は「質・量(人数)ともに不足している」との回答がユーザー企業で80.8%、IT企業で74.8%と不足感が極めて強い
●グローバルIT人材に求められる能力はコミュニケーション力、リーダーシップ、管理能力などヒューマンスキルが中心
こんな調査結果を、情報処理推進機構(IPA)がこのほど、「IT人材白書2014」にまとめた(図1、図2)。
上記のほか、大型IT案件の進行や消費税・マイナンバー制度対応に伴い人材の量的不足が顕在化していること、IT人材の側面から依然、IT産業の主軸は受託開発でクラウドなどサービスへのソフトが進む兆しは見えていないこと、などを明らかにしている。
前者に関しては「質」に対する不足感は大きな変化がない。だが、「量」については「大幅に不足している」の割合が、2012年度の12.2%から19.0%と大きく増加した。「やや不足している」を合わせると82.2%になり、2012年度の72.0%から10ポイント増えた。
後者に関しては、ユーザー企業が今後3年間にSaaS(Software as a Service)やPaaS(Platform as a Service)といったサービス利用を拡大すると回答するのに対し、IT企業は依然として開発、運用、SIを拡大すると回答している(図3)。もちろんユーザー企業がサービスを利用する場合でも既存システム連携などSIは必要だし、資本力や収益モデルの面でIT企業のサービスシフトは簡単ではないことも確かだ。だが、それにしても、である。