ビッグデータやモバイルデバイスといったテクノロジーの登場により、企業ITは新たなステージに移行しようとしている。新技術を活用し、業務を革新せよとの言説には枚挙に暇がないが、企業各社の実態はどうか。日本情報システム・ユーザー協会(JUAS)で「企業IT動向調査2014」をまとめた常務理事の浜田達夫氏に聞いた。
常務理事 浜田達夫氏
JUASは毎年、各社の予算策定時期に合わせて、「企業IT投資動向調査」を実施している。情報システムに関わるさまざまな実態を尋ねるものだ。IT投資を巡る今日的な関心事は、各社が予算を「攻め」と「守り」にどう分配しているかだろう。本調査では「ITで解決したい中期的な課題」を定点観測するため毎年尋ねている。
今回の結果をまとめたのが図である。最も多かったのは、「迅速な業績把握、情報把握の実現(リアルタイム経営)」で22.1%。次いで、「業務プロセスの効率化(省力化、業務コスト削減)」が19.2%だった。これらは、意思決定を支援するサポート的な存在。今回の調査では、ひとまず守りの投資としてカウントしている。
一方、売り上げや利益の増加に直接結びつく、「攻め」のグループで最も多かったのは「営業力の強化」で8.2%、「グローバル化への対応」が6.7%で続いた。各項目を足し合わせると、攻めの投資が32.7%に対して、守りの投資は67.3%。IT投資に守りを求める傾向が窺える。
(出典:日本情報システム・ユーザー協会「第20回 企業IT動向調査2014年(13年度調査)」)
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ただし、これだけを見て、全体を把握したと考えるのは早計だ。セグメント別に見ると、異なる様相が浮かび上がる。例えば、下図は調査結果を売上高でセグメントしたもの。売上規模によって、投資意向が大きく異なることが分かる。
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