ビッグデータに象徴されるように、データの価値が従来になく高まっている。そこでは、経営層から現場のスタッフまでが、それぞれの立場でデータを最大限に活用できる環境が求められるようになってきた。適切なデータを、適切なユーザーに、適切な方法で提供できるデータ基盤として、インフォマティカが提案するのが「インテリジェントデータプラットフォーム(Intelligent Data Platform:IDP)」である。多様化するデータの種類や保存場所を問わず、データのライフサイクルを管理することで、ビジネスの原動力であるデータの利用環境を一変する。
利用者が活用したい情報を提案できるデータ活用基盤の構築へ
ソーシャルメディアやIoTといった新しいデータに基づく経営を考える場合、これらがテキストなどの非構造データであることも考慮しなければならない。今後は、多様化・複雑化するデータ環境を吸収し、活用する人それぞれの立場から必要なデータが容易に入手でき、それを活用できる環境が求められる。
こうした新しいデータ活用環境としてインフォマティカが提案するのが「インテリジェントデータプラットフォーム(Intelligent Data Platform:IDP)」である。
「インフォマティカはこれまでも、データを自動的に整理し、データの利用環境の最適化を図るために“データ統合プラットフォーム”の概念を提唱し、そのための仕組みを提供してきました。適切なデータを、適切なユーザーに、適切な方法で届けるためです。IDPでは、そこに“インテリジェンス”を追加することで、各利用者のデータの活用状況などから、その人が必要としている情報を推奨するといったことまでが可能になりました。データ環境の多様化・複雑化をIDPが吸収するため、利用者は、データ活用により専念できるようになります」と吉田氏は強調する。
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利用者が使いたいであろう情報を推奨するというIDPは、次の3つのレイヤーによって構成されている(図1)。
IDPのコアになるのが、データ統合処理エンジンの「Informatica Vibe」である。仮想データマシンと呼ばれ、多様なデータソースへのアクセスやデータ統合処理の実行などを担う。データの処理ロジックを一度定義すれば、任意のアプリケーションやデータベース、Hadoopなど様々な環境で、同じロジックを利用できる。
Vibe上に位置するのが「データインフラストラクチャ」である。「Feed」「Integration」「Quality & Mastering」「Management」というデータ活用に不可欠な4つの機能を提供する。具体的には、データの統合や、クレンジング、マスターデータ管理、およびセキュリティの確保などである。
データインフラストラクチャは、同社の主力製品である「PowerCenter」や「PowerExchange」「Data Quality」「MDM」「Cloud Integration」などによって実装される。最近の機能強化で、センサーデータなどのリアルタイムストリーミング収集を可能にしたり、複数のアプリケーションへのデータ提供を効率化するハブ機能を追加したりしている。
データマネジメントの世界に“インテリジェンス”を統合
そして、IDPの情報推奨機能を実現するのが、最上位層の「データインテリジェンス」だ。メタデータ(データに関するデータ)やセマンティックデータ(データの構造を示すデータ)などを使い、利用者が、どんなツールで、どんなデータを利用しているかといった状況を機械学習し、「この立場の利用者なら、このデータが必要なはず」といった判断を下す。
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IDPの機能を使ったツールに、セルフサービス型統合環境の「Project Springbok」と、データ中心型セキュリティと呼ばれる「Project Secure@Source」がある。Springbokは、データの利用者が、データの所在などをより意識せずに利用するためのダッシュボード的な環境を実現するもの、Secure@Sourceは、利用したいデータの視点からデータ単位にセキュリティを設定するためのツールだ。
セルフサービス型のデータ利用基盤の価値について、インフォマティカ・ジャパン セールスコンサルティング部のソリューションアーキテクトである久國 淳 氏は、次のように話す。
「今後は、データアナリストやデータサイエンティストと呼ばれる専門家だけでなく、在庫管理や顧客対応などに直接関わっているLOB(Line of Business)のスタッフ自らが、積極的にデータ活用に関与していかなければなりません。そのためには、多様化・複雑化するデータ環境を統合し、LOBのユーザーによる直感的なセルフサービスでのデータの利活用を支援するインテリジェンスを備えたデータプラットフォームが不可欠です」