アプリケーションの実行環境を提供するクラウドであるPaaS(Platform as a Service)が存在感を強めている。情報システムの重要領域が、最終顧客に近づくための仕組みにシフトしている今、競合との差異化点を生み出すためのアプリケーションの重要性が高まっているためだ。そこでは、PaaSを使ったアプリケーションの“カイゼン”活動が、顧客との関係維持を可能にする。
「ITは、対顧客のサービスを創り出すための血流へと変化した」−−アクセンチュアとマイクロソフトの合弁会社、アバナードでクラウド導入などのコンサルティングを手がける山根隆宏グループマネジャーは、ビジネスとITを考える際のITの位置づけが大きく変化していると指摘する。
従来、ITは「企業の神経」にたとえられるケースが多かった。身体(企業)の内外で何が起こっているのかを素早く察知し、変化に応じた対策を打つといった意味合いだ。だが、そのために構築したのは、ERP(Enterprise Resource Planning:統合基幹業務)システムに代表されるように、一企業の活動状況を把握するための仕組みが中心だった。
神経から血流への変化は、何を意味するのか。山根マネジャーは、「(現状把握だけでなく)さらなる成長/進化に向け、これからのITは、アジリティ(俊敏性)とスケーラビリティ(拡張性)、そしてフレキシビリティ(柔軟性)のために選択し利用されなければならない」と説明する。
要求は社外からやってくる
同様の指摘は、バックエンドとフロントエンドや、Systems of RecordとSystems of Engagement、IT投資における運用保守費と新規開発費の割合といった対比で語られる場面が増えている。すなわち、今後のシステム開発で重要なのは、顧客との関係性を強化するためのフロントエンドに位置するシステムであり、運用費を抑えながら常に新たな仕組みを採り入れていくべきということだ。
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