日本における垂直統合機のROI(Return On Investment:投資対効果)は1.5倍弱、投資回収機関は1年4カ月以内−−。IT市場調査会社のIDC Japanは2015年1月8日、垂直統合機の国内事例も分析結果を発表した。
分析対象は、日本における垂直統合機の導入事例。垂直統合機のIDCでは、「インテグレーテッドシステム」と呼び、特定のワークロードに最適化したシステムを「インテグレーテッドプラットフォーム」、最適化していないシステムを「インテグレーテッドインフラストラクチャ」とに2分している。
ROIが1.5倍弱だったのは、インテグレーテッドインフラストラクチャに分類される垂直統合機。具体的には富士通のIntegrated System Cloud Ready Blocksや米IBMのPureFlexなどが相当する。
分析結果によれば、インテグレーテッドインフラストラクチャの初期投資額(100ユーザー当たり、以下同様)は125万4230円、年次投資額は37万8328円だ。これに対し、得られる利益(ベネフィット)は、初期投資時点が105万1795円、年次で182万8876円(割引前)と試算した。割引率12%を適用した3年間の純利益は310万313円だった。
これらの結果から、インテグレーテッドインフラストラクチャのROIは147.2%、投資回収期間は15.7カ月になった。
ベネフィットとして、IT部門あるいはシステムユーザーに対する生産性向上などをそれぞれ評価した。ただし、アジリティ(俊敏性)によるベネフィットは考慮していないため、実際には、今回の分析結果よりも大きなROIと投資回収期間の短縮が期待できることになる。
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IDC Japan サーバーグループマネジャーの福冨里志氏は、「IT部門はインテグレーテッドシステムの利点を生かすために、従来型のソリューション選定および運用管理の手法を改める必要がある。具体的には、ハードウェアとソフトウェアコンポーネントの標準化を図るべきである。標準化によって管理と相互運用性の欠如を解消し簡素化できる」と指摘する。
IDCでは、ITサービスの革新やビジネス環境の変化への対応を重視したプロジェクトに対し、IT関連リソースを再配置すべきとの認識が高まるなかで、それを可能にする方法の選択肢としてインテグレーテッドシステムの導入を検討する企業が今後も増えると予測している。
インテグレートプラットフォームを含む垂直統合機の分析結果の詳細は、『2014年国内企業におけるインテグレーテッドシステムのROI分析』(J14260101、IDC)で報告されている。