クラウド型ERP/HR(財務・会計・人事)システムで知られる米国ワークデイが日本国内でのビジネスを本格化する。2015年1月14日、東京都内で行われた説明会では、コミュニティを起点とした顧客満足度向上を掲げて日本法人の人員を増強し、国内の中堅・大規模企業をメインターゲットに人事システムのグローバル化支援に注力していくなどの戦略・方針が語られた。
米ワークデイ(Workday)は2005年、大規模企業におけるERP(財務・会計)/HR(人事)システムをSaaS型のクラウドサービスとして提供することを目的に設立された。システム導入期間の短縮、操作しやすいユーザーインタフェースなどの特徴がユーザーの注目を集め、現在では日本の日産自動車やソニーを含む、多くのグローバル企業に採用されるに至っている。
日本法人の設立は2013年8月で、当初は日本国内のカスタマーサポートセンターとして活動を開始。これまで日本に拠点を置くグローバル企業150社に対する製品導入・運用サポートを中心にビジネスを展開してきた。
米ワークデイのCOO(最高執行責任者)、マイク・スタンキー(Mike Stankey)氏によると、日本法人では、「準備とインフラ構築」、「製品整備と顧客満足度向上」、「営業&マーケティングと顧客満足度向上」の3つを重点課題に歩を進めてきたという。その結果、現在では、日本向け製品/サービスの開発体制、顧客との対話の基盤となるコミュニティの醸成と、それを中心としたカスタマーサポート体制が整う。加えて、カスタマーサポート、サービス、営業の各部門で大幅な増員を行い、「日本市場ならではのニーズに応えていける自信を得たので、このたび活動を本格化すると決めた」(スタンキー氏)という。
ワークデイの日本市場での取り組みは、まずSaaS型人事システムのシェア拡大から始まる。メインの対象ユーザーは、日本に本社があって海外にグローバル展開している企業、ないしはグローバル展開を計画中企業だが、もちろん日本国内だけで展開する企業も対象とする。もう一方のクラウド型の財務システムについては、「現在、日本でのニーズを調査分析しているところで、そこでの評価から今年中にも本格稼働したい」(同社)とのことだ。
ワークデイは、「1つのバージョンでいったん設定を行えば、違う国・違う会社にも容易に展開できる)」と、「(ユーザーに負担をかけない)ワークデイ側でのアップデート」というデリバリーモデルを推進している。同社は、グローバル展開を前提にしたこのモデルを軸に、日本市場でのシュア獲得を目指していく構えだ。日本法人の代表取締役社長・ゼネラルマネージャの金翰新(Kim Hanshin)氏は、「グローバルレベルの人事システムとしては競合企業より2歩も3歩も進んでいると自負している」と日本市場でのシェア拡大に自信をのぞかせた。