アパレル製造小売のオンワード樫山が、SAPのERPを中核に構築された基幹システムの稼働基盤をAWS(Amazon Web Services)クラウドに移行した。この「SAP on AWS」プロジェクトは、性能拡張時のスケーラビリティの確保や災害対策、老朽化したハードウェアの刷新などを目的に推進され、2015年3月1日に移行を完了している。プロジェクトを担当した野村総合研究所(NRI)が同月31日に発表した。
クラウドへの移行対象となったのは、SAPのアパレル業界向けERPシステム「SAP AFS(SAP Apparel and Footwear Solution)」で構築された、経理、計数、マスター管理、情報分析からなる基幹系システムと、物流系システム、情報系システムである。
基幹系システムの稼働基盤を従来のオンプレミス環境からクラウドに移行することで、 処理性能を拡張する際のスケーラビリティの確保、複数の異なるデータセンターの利用による広域災害対策の強化、ハードウェアの老朽化で生じる導入・保守コストの削減が可能になるとしている。なお、SAPジャパンによれば、オンワード樫山のプロジェクトは、SAP on AWS事例として世界最高の処理性能を達成したという(2015年3月31日時点、SAPジャパン調べ)。
移行にあたっては、システム全体の運用の可視化と自動化を推進する目的で、基幹システムに、NRIのシステム運用管理ツール「Senju Operation Conductor」を併せて導入している。また、情報セキュリティ統制やサイバー攻撃対策を強化するため、NRIセキュアテクノロジーズのアクセス制御・管理ツール「SecureCube/AccessCheck」も導入した。これらの製品を利用することで、NRIデータセンターからの、基幹系システムの24時間・365日リモート運用監視体制を実現している(図1)。
【プロジェクトの概要】b | |
ユーザー名 | オンワード樫山 |
事業内容 | アパレル製造小売 |
導入システム | 基幹系システムの稼働基盤 |
導入目的 | 性能拡張時のスケーラビリティの確保や災害対策、老朽化したハードウェアの刷新 |
主な利用製品 | 「Amazon Web Services」「Senju Operation Conductor」「SecureCube/AccessCheck」 |