ノークリサーチは2015年7月27日、中堅・中小企業におけるサーバー仮想化技術の活用実態と展望に関する調査を実施し、その結果の概要を発表した。結果から、中堅・中小企業で、1年以内にサーバー仮想化を導入する予定の企業の割合が55.4%に達していることが判明した。
サーバー仮想化ミドルウェアはVMwareとHyper-Vが拮抗
図3のグラフは、中堅・中小企業に対し、今後1年以内に新規導入または刷新・更新するサーバーにおいてサーバー仮想化を適用する場合に利用する「サーバー仮想化ミドルウェア」を尋ねたものである。
結果を見ると、ヴイエムウェアの「VMware vSphere」 とマイクロソフトの「Microsoft Hyper-V」が拮抗しており、両製品を合計すると全体の60.5%に達する。ただし、「サーバー仮想化ミドルウェアは不明」という回答(年商別に見た場合には年商5~50億円の中小企業クラスで特に多い)が24.4%存在している。
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調査の設計・分析を担当した同社シニア・アナリストの岩上由高氏によると、サーバー仮想化ソリューションが洗練されるにつれ、サーバー仮想化ミドルウェアはユーザ企業に対しサーバーハードウェア、OS、業務アプリケーションなどの一部として認識されやすくなるという。同氏は、「大企業または中堅上位クラスのように専任のIT部門を抱える企業層を除くと、今後はユーザー企業がサーバー仮想化ミドルウェアを意識しないケースが増える可能性もある」と指摘している。
なお、調査では全体状況を把握するために、「Docker」や「Parallels Virtuozzo Containers/Open VZ」といったコンテナ技術も選択肢に含まれていた。しかし、両技術に対する中堅・中小企業の回答は得られず、現時点では大企業やデータセンター用途を中心に活用が広まりつつあるものと考えられる。
ただし岩上氏は、「いわゆるハイパーバイザとコンテナ技術は完全に競合するものではなく、システムの用途やニーズに応じた選択または共存の関係になるべきものと言える」とし、そうした状況が中堅・中小企業に波及するにはまだ時間を要すると予想されるが、将来的な変化に備えて状況を注視していくことが重要だと説いている。
同調査の詳細は、ノークリサーチが発行した「2015年版 中堅・中小企業におけるサーバ仮想化活用の実態と展望レポート」に示されている。