米GE(General Electric)がIoT(Internet of Things:モノのインターネット)のためのクラウドサービスを開始すると発表した。本格開始は2016年。大手クラウド事業者とのせめぎ合いが巻き起こる可能性がある。
「今日のクラウドサービスは、産業用のアプリケーションに最適化されていない」−−。こうした理由から、米GE(General Electric)が、クラウド事業者が提供するサービスの利用者になるのではなく、自らが産業用のクラウドサービス「Predix Cloud」を開始すると発表した(発表資料)。
Predix Cloudは、ジェットエンジンや発電用タービン、MRI(Magnetic
Resonance Imaging:磁気共鳴画像)といった医療機器など、機械や機器が生成するデータを管理・処理するためのクラウドサービス。現在、ベータテストの段階。年内にGEグループ企業に、2016年には一般企業にむけてサービスを提供する計画である。
Predix Cloudの実体はPaaS(Platform as a Service)。GEが出資する米PivotalのPaaS構築用ソフトウェア群である「Cloud Foundry」をベースにする。分散アーキテクチャーによるマイクロサービスに則ったソフトウェア開発や展開を可能にするという。IaaS(Infrastructure as a Service)には、開発/テスト用にAWS(Amazon Web Services)を、実行用にGEが保有するPredixデータセンターのコンピューター群を利用する。
多くのクラウドサービスとの違いは、様々な機器とDC(Data Center)のセキュアな接続性と、データのセキュリティに留意を払っている点。接続されている機械や機器がPredix Cloud経由で乗っ取られるような事態は避ける必要があるからだ。事実、GEは膨大なデータを生む機械/機器をセキュアかつ高速に結ぶために、同社が主導する業界団体IIC(Industrial Internet Consortium)において、米東海岸と西海岸を100Gbpsの高速回線で接続する実験に成功している(関連記事)。
Predix CloudがIoT用途とはいえ、GEがクラウドサービスに参入することで、米大手クラウド事業者とのせめぎ合いが起きそうだ。GEが製造する大型の機械だけに限らず、電力網やホームオートメーション機器、自動車などにも対象を広げることは自然だからである。
GE自らが利用者としてPredix Cloudの強化・普及を牽引することも、クラウド事業者には脅威になる。例えばGE製のジェットエンジンを搭載する航空機は1日に10万便が飛んでおり、膨大なデータを生み出している。GEは自社製ソフトウェアを年内にPredix Cloudに移植する。こうした点も、米IBMや米Microsoftなどのクラウドサービスとの違いだ。日本の重工メーカーや医療機器メーカーにとっても、悩ましい選択を迫られる事態になる可能性がある。
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