深刻な人手不足に悩む飲食店や専門店。繁閑に合わせて適切に従業員をアサインできないばかりに機会ロスしたり、コストが増加したりといった問題が起きている。行き着く先の1つが、従業員に過大な負担を強いるブラック企業だ。こうした問題に対処するツールをソフトベンチャーのウィンワークスが開発した。
飲食店やアパレルなどの専門店、ホテルや旅館業、あるいは倉庫業といったサービス業の現場で、今どんな問題が起きているかをご存じだろうか。営業時間の長時間化、ネット企業など異業種を含めた競争激化、景気回復による採用競争などが相まって起きている。深刻な人員不足であり、いわゆる“ブラック企業”を生んでしまう素地と言ってもいい。
それを象徴する有名な言葉に「ワンオペ」がある。特に働き手が不足する夜間や深夜の時間帯に、アルバイトなどの従業員がたった1人で店舗を運営する、ワンオペレーションのことだ。「要員を採用できないのだから仕方がない」などという経営側の論理が通用するはずもなく、企業イメージを損ねたり、店舗閉鎖や経営危機を招いたりする。少ない従業員 → サービス品質の低下 → 売り上げ減少 → 従業員の削減といった悪循環に陥ってしまうのだ。
もちろん単に人数を満たせばいいという話でもない。パート/アルバイトを含めた従業員にも、それぞれ事情がある。普段は充足していても土日の繁忙期に人手が足りないといったことが起こり得る。あるいは増加する訪日客の需要を取り込むには、適切な言語スキルを持った従業員が必要だが、繁忙期に十分な人材がいなかったために販売の機会ロスを招くケースもある。当然、現場では問題を未然に防ぐべく、採用やシフト勤務に工夫を凝らすが、それだけでは限界に来ているのが実状である。
数理統計モデルとルールベースを組み合わせ計画を最適化
こうした人手不足に悩む企業やサービス現場に向けて、ソフトベンチャーであるウィンワークスが、要員の人員計画から勤務計画の作成、採用までをサポートするソフトウェア「WINWORKS One V4」を開発した。従業員のニーズと企業のニーズという相反する要件を満たすために、数理統計モデルとルールベースを組み合わせることで最適な計画を立案できるようにしたという。
実際のところ人員や勤務計画の何が難しく、WINWORKS Oneを使うと何が解決できるのか。売り物の機能が、週や日、時間帯の繁閑に合わせたシフト勤務表の作成である。
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図1は、1日の時間帯における繁閑と人員の過不足の例を示したものだ。忙しくない午前中の時間帯にはスタッフが過剰で、忙しくなる午後から夜の時間帯には従業員が過少になっている。
店舗マネジャーは、この過不足が最少になるよう、シフト勤務表を作成する必要があり、それを週/月の単位で作成しメンテナンスしなければならない。だが、これが簡単ではないという。
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