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クールジャパンを世界のスマホに―日本発ベンチャーのグローバル戦略

2015年8月13日(木)杉田 悟(IT Leaders編集部)

日本のスマートフォン市場では50%以上のシェアを誇るiPhoneも、世界ではAndroid端末に大きく水を空けられている。その要因のひとつとして、東南アジアやアフリカの新興国で急速に普及が進んでいる低価格スマートフォンの存在が上げられる。新興国の中でも、特に日本と親しみのある東南アジアの低価格スマートフォン市場に、クールジャパンコンテンツで参入しようとしているベンチャー企業がある。それがグート(Gooute)だ。ベンチャーといえどもこの分野で有力なパートナーが脇を固めており、あなどれない。今後の動きに注目していくべき"クール"なベンチャー企業だ。

 ガートナーの調査によると、2011年のスマートフォン世界販売台数上位10社には、AppleやNokia、Samsung、ソニーなどそうそうたる企業が名を連ねていた。上位10社以外の「その他」はわずか6.6%となっており、著名な企業がシェアを独占していたことがわかる。

 それが3年後はどうか。同社の2014年の調査では上記のメーカーはランキングに残っているものの、LenovoやZTEに加え、 Xiaomi、Yulongといった中国の新興メーカーが上位10社入りを果たしている。さらに「その他」が27.8%まで膨らんでいる(図1)。「その他」の中には、中国や台湾のODM(Original Design Manufacturer)/OEM(Original Equipment Manufacturing)事業者が製造したスマートフォンを自社ブランドとして展開している新興国のメーカーが乱立している状態だという。

図1:スマートフォンメーカー別シェア2011年と2014年比較(出展:ガートナー)
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 上位に食い込んでいる中国や台湾のメーカーの多くが低価格スマートフォンを主力製品としている。3年前には6.6%の「その他」の中に収まっていた低価格スマートフォンメーカーが、2014年には全体の50%近くを占めるまで躍進しているわけだ。こうして、グローバルではスマートフォンの主戦場が、先進国向けハイエンド機から新興国向けローエンド機に移っているということが明らかとなっている。

 ところが、これだけ急速に販売台数を伸ばしているにもかかわらず、低価格スマートフォンを扱っているメーカーのほとんどが利益を上げられていない。各社とも薄利多売の端末販売だけでは利益を出せず、儲かるための「+α」を探している状態にあるという。

写真:グートのビジネスモデルを説明する横地氏

 そんな悩めるスマートフォンメーカーに対し、「+α」として、日本が強みとするアニメやゲーム、音楽などの“クールジャパンコンテンツ”を提案していこうと考えたのが、今回紹介するグート(Gooeteグート)だ。同社は本社をシンガポールに置き(Gooute Pte. Ltd.)、日本人の横地俊哉氏がCEOを務める日本発のベンチャー企業だ。2015年8月10日に行われた事業戦略説明会で、横地氏から戦略と事業展開の詳細が説明された。

 主力サービスは、クールジャパンコンテンツを購入/配信するためのプラットフォーム「GOOUME JP(グーミィ)」である。グートはグーミィを、スマートフォンにプリインストールして販売してもらうことを目指す。グーミィは、スマートフォンメーカーにとっては自社の収益源となるコンテンツプラットフォームとなりうるもので、App StoreやGoogle Playを自前で持つようなものになる、というのが横地氏の構想だ。

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