マーケティング用途のIT基盤などを提供するALBERTは2015年9月8日、機械学習手法の1つである「Deep Learning:深層学習」技術を使って画像に自動的にタグを付与するサービスを開始したと発表した。アパレル業のEC(Electronic Commerce:電子商取引)サイトなどを主な対象に、大量の商品画像に対するタグ付け作業の自動化を可能にする。
新サービスは、AWS(Amazon Web Services)上にあるALBERTのサーバーに商品画像をアップロードすると、カテゴリや形状、色、柄、素材、感覚表現など約200種類の「基本ファッション用タグ」が付与されたファイルを自動生成するもの。Deep Learning技術により画像を解析することで、大量の画像に自動的にタグを付けることで、同作業にかかるコストの削減と精度の向上を図る。
同じ仕組みをマーケティング分析や、商品レコメンデーションにも応用できる。マーケティング分析では、色や模様に加え、「かわいい」「エレガント」といった要素をタグ付けできるため、ファッショントレンドを把握するといった分析が可能になる。商品レコメンデーションでは、タグに基づいて推薦することで、「過去に購入した商品と、テイストが似ている商品」を推薦するといったことができる。
識別精度は現時点で、「カテゴリ(トップス/ボトムス/インナー/レディース/メンズ/ティーンズ/キッズなど)」と「形状(Tシャツ/カットソー/半袖など)、「色や柄(無地/ボーダー/水玉など)」などの識別では、人による作業と同等以上の精度が実現できているとしている。
企業独自のタグ(オプションタグ)にも対応できる。タグマスターとタグ付き学習用画像を用意しモデルを学習させることで、ALBERTが用意する基本ファッション用タグ以外のタグを付与できるようになる。
EC(Electronic Commerce)サイトを運用するには、商品を検索したり分類したりするための商品データベースを構築する際に、大量の商品画像を確認し、それぞれにカテゴリや形状、色やテイストといったタグを付与する必要がある。目視による作業では、画像数が増えれば増えるほどミスの発生率が高まり、タグの抜けや漏れにより、検索キーワードに対し商品が該当しないといった問題につながっていた。
Deep Learningは、画像認識やデータ関連性を分析する人工知能技術の1つ。人間の脳神経の働きをモデル化したユニットを多層的に配置して人間の脳の働きを再現するニューラルネットワークの一種である。低次の特徴量から高次の特徴量を自動的に抽出し、人間の視覚認知に近い認識能力を実現できる。
ALBERTのデータ分析部R&Dセクションでは、理化学研究所脳科学総合研究センターで神経科学、特に高等動物の高次視覚野に関する研究に携わったメンバーを中心に、Deep Learning研究開発に取り組んでいるという。